(CNN) シリア政府軍が北部の都市アレッポで反体制派が拠点とする市東部への空爆を強めている問題で、東部全域の病院が攻撃を受け、フル稼働する病院は1つも残っていないとの情報が入った。米国の非政府組織(NGO)「シリア系米国人医療協会(SAMS)が19日、CNNに語った。
SAMSによると、アレッポ東部では最近の空爆により、主要な救急病院が相次いで破壊された。現地で支援活動に当たる反体制派団体「アレッポ・メディア・センター(AMC)」は「最大5カ所の病院が稼働中」としているが、SAMSは「フル稼働できる病院がないという前代未聞の事態だ」と指摘する。
現地の救助団体「シリア民間防衛隊」(通称・ホワイトヘルメッツ)によると、19日には東部で少なくとも61人の市民が死亡した。空爆は250回、撃ち込まれた砲弾は2000発以上に上った。
AMCがインターネットに投稿したビデオには、18日夜に攻撃を受けた病院の様子が写っている。患者らは粉塵(ふんじん)にまみれ、医師はカメラに向かって「けがの手当てを受けていた患者も含め、病院内の全員が負傷した」と訴えている。別の病院から避難した患者で満員だった集中治療室も、直接攻撃されたという。
国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は「伝えたいことはただひとつ。病院への攻撃を停止せよ」との声明を出した。
米国のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は声明で、医療施設や人道支援要員に対する攻撃を「極悪非道の行為」と非難した。
政府軍がアレッポ空爆を再開したのは15日。それまでの3週間は、政府軍を支援するロシアによる一時停戦の宣言などを受けて大規模な攻撃は行われていなかった。
アレッポ空爆、標的となった病院の惨状