マルコス元大統領を英雄墓地に埋葬 フィリピン

故マルコス元大統領の英雄墓地への埋葬に反対する人々=8月14日、マニラ

2016.11.19 Sat posted at 15:02 JST

マニラ(CNN) フィリピンの首都マニラにある国立英雄墓地で18日、同国で長年独裁政権を敷いたマルコス元大統領の埋葬が行われた。マルコス氏の英雄墓地への埋葬をめぐっては、反対派が最高裁に異議を申し立てていたが棄却された経緯があり、同市内では抗議行動も起こった。

マルコス氏の遺族は30年にわたり、英雄墓地への埋葬を求める活動を展開していた。

多くのフィリピン人はマルコス氏の統治が過酷なものだったことを踏まえ、英雄墓地への埋葬に反対している。マルコス政権下では数千人が収監され拷問を受けた。同氏は25年にわたり強権政治を敷いた後、86年の「ピープルパワー革命」で政権の座を追われ、ハワイに亡命した3年後の89年に死亡。遺体は最終的に、一族の拠点であるフィリピン北東部・北イロコス州の霊廟(れいびょう)に搬送されていた。

マルコス氏の娘のアイミー氏は、ひつぎがヘリコプターに運ばれ墓地に到着する様子を捉えた動画をインターネットに投稿した。また遺族を代表して声明を出し、埋葬は合法との判断を示したことに関し、ドゥテルテ大統領と最高裁に謝意を表明した。

ドゥテルテ氏は今年6月に政権の座に就いて以降、英雄墓地への再埋葬は合法だとしてマルコス氏の遺体を移動させる方針を示していた。ドゥテルテ氏の父はマルコス政権の閣僚の一人で、同氏自身も大統領選でアイミー氏から支援を受けていた。

マルコス元大統領の親族が埋葬を見守った

CNNフィリピンが短文投稿サイトのツイッターに投稿した画像には、墓地の外に配備された警察機動隊の姿が収められている。葬儀の取材は許可されなかったという。

ドゥテルテ氏は訪問先のペルーから大統領報道官を通じ声明を発表。「(反対派と賛成派の)双方が最大限に寛容な姿勢を示し、マルコス元大統領の葬儀を受け入れることを望む」としたほか、全国民は自身を傷つけた相手を許す余地を心の中に見つけてほしいとも述べた。

一方、反対派のレニー・ロブレド副大統領は突然の埋葬について、マルコス氏の遺族が「夜盗」のように振る舞っていることを示すものと指摘。「(マルコス氏は)英雄ではない。もし英雄であれば、遺族は恥ずべき犯罪行為のように埋葬を隠す必要はないだろう」と述べた。

埋葬を受け、マニラ市内では抗議活動が起こった。

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