2次大戦で沈没した軍艦の残骸、海底から消える ジャワ海

オランダの駆逐艦「コルテノール」

2016.11.17 Thu posted at 18:01 JST

(CNN) 第2次世界大戦中にインドネシア・ジャワ海で起きた海戦で旧日本海軍に撃沈された英国、オランダの巡洋艦を含む複数の海軍艦船の残骸が14年前に発見されていた海底から消失していることが17日までにわかった。

残骸に戦没者の遺骨が含まれていることなどを重く見た両国政府は原因解明に乗り出している。これら艦船の残骸は2002年に発見されていた。

英紙ガーディアンによると、オランダ国防省は巡洋艦の「デ・ロイテル」(6545トン)と「ジャワ」(6670トン)、駆逐艦「コルテノール」(1316トン)の残骸が消えていることを確認した。来年にジャワ海戦から75年を迎えることを契機に実施した探査作業で発見したという。

潜水士が海中カメラやソナーを使って残骸があった海底を探したが、巡洋艦2隻と駆逐艦の大半の残骸が消えていたことが判明した。オランダ国防省の報道担当者は今回の事態に十分な注意をもって対処する考えを表明。「非常に重要な戦没者の墓地の問題である」と強調した。

同紙によると、英国海軍の巡洋艦「エクセター」(8390トン)と駆逐艦「エンカウンター」(1405トン)の残骸もなくなり、米海軍の潜水艦も消えていた。英国海軍の駆逐艦「エレクトラ」(1405トン)は荒らされた形跡があったものの、多くの残骸がそのまま残っていたという。

英駆逐艦「エレクトラ」

ジャワ海戦は1942年2月27日に発生。旧日本海軍と英国、オランダ、米国とオーストラリア各海軍艦船が交戦したが、オランダなどの少なくとも10隻の艦船が撃沈され、兵士2173人が命を落としていた。

この中でマレーシア紙ニュー・ストレーツ・タイムズは昨年、漁師を装ったダイバー集団が第2次大戦時の沈没船を物色し、アルミニウム、真鍮(しんちゅう)や鋼鉄を盗んでいると報道。英紙テレグラフは、2012年以降に英国艦船2隻の残骸を荒らしているとも伝えていた。2隻のスクリュー部分はリン青銅製で、1トン当たり約4700ドルの値段が付くとも報じていた。2隻のスクリューの重さはそれぞれ15トンと推定していた。

英国国防省の報道担当者は声明で、遺骨を含む今回の残骸消失に関し、インドネシア当局に重大な懸念を伝えたと表明。調査を促すと共に、残骸を乱すような不当な行動の再発防止に向けた適切な措置を求めたとした。

沈没などした海軍艦船の残骸、戦没者の墓や関連の遺品に対する冒涜(ぼうとく)行為は遺族らの心情への配慮などから国際法違反と規定されている。英国防省は残骸はそのままの状態にし、戦没者を安らかに弔うべきと主張している。

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