NAFTA・TPP・中国 トランプ新政権、まずは通商政策を刷新

2016.11.16 Wed posted at 14:49 JST

ワシントン(CNN) 米次期大統領ドナルド・トランプ氏は来年1月20日の就任当日から、米国の通商政策の刷新に着手する考えであることが16日までに分かった。CNNは、政権移行チームが政策の主要5原則について起草した文書を入手した。

文書はトランプ大統領就任から200日までの通商政策の骨子についてまとめたもので、北米自由貿易協定(NAFTA)からの撤退または再交渉など、トランプ氏が選挙運動中に打ち出した公約に基づく重点課題に照準を当てている。

ただしこの文書の内容は「論議のみを目的とする」と明記され、就任までに大幅に変わる可能性もあると記されている。それでも移行チームが公約をもとに、トランプ政権の青写真として描いた政策の内容が明らかになった。

「トランプ氏の通商計画では、共和、民主両党のグローバル主義者と決別する」と文書では明記。「トランプ政権は長年にわたった融和的な通商政策を覆す。新しい貿易協定は、米国の労働者と企業の利益を第一とすることを前提に交渉を行う」とした。

200日計画は主要5原則を柱として、製造業の雇用については別立ての柱を掲げる。まず第1にNAFTAからの撤退または再交渉を挙げ、第2に環太平洋経済連携協定(TPP)の阻止、第3に「不公平な輸入」の停止、第4に「不公平な貿易慣行」の停止、第5に二国間貿易協定の追求を据えた。

メキシコのペニャニエト大統領(左)とトランプ氏=8月

もう1つの重点課題として掲げた「製造業の雇用の維持と復活」には、税率の引き下げや法人に対する規制の撤廃、米国内のエネルギー分野の規制撤廃を盛り込んでいる。

TPPに関しては共和、民主両党の議会指導部がオバマ大統領の任期中は議題にしないと表明していることから、立ち消えになるのはほぼ確実。トランプ氏が何もしなくても、TPPは実質的に失効する。

トランプ政権始動の初日と100日目、200日目の目標は以下の通り。

初日:NAFTA改革に着手

就任当日、トランプ大統領はNAFTA改革に着手し、米商務省と米国際貿易委員会(ITC)に対し、NAFTAから撤退した場合の影響や撤退に必要な立法措置について検討するよう指示する。メキシコとカナダには米通商代表部を通じ、協定の一部改訂を提案する意向を伝える。改訂を提案する内容には通貨操作の手段、材木、原産国表示、環境および安全基準が含まれ得る。

文書の末尾には「政策の変更が中流層、製造およびサービス分野の労働者、外国から米国への直接投資に及ぼす影響について特別に配慮する」とも記載されている。

=Ian Berry/CNNMONEY

トランプ政権は為替操作に関する法案も提出する意向。貿易相手国が「有害な」行為を行っていないかどうか審査して、貿易における食の安全や国際的な企業買収における相互依存関係について対米外国投資委員会(CFIUS) による審査を指示する。

100日目:中国を標的に

トランプ大統領は100日目までにNAFTAに関する再交渉を継続するとともに、中国を為替操作国に認定できるかどうかの検討および二国間交渉を通じて中国に対する断固たる措置を追求する。

200日目:正式な撤退を検討

200日目までにはNAFTAからの正式な撤退について検討し、引き続き二国間貿易協定を追求する。議会で貿易協定関連の議案を迅速に通過させるため大統領の権限を強化する「大統領貿易促進権限」を2018年までの期限で議会に承認させる。この期限は2021年まで延長される可能性もある。

文書には、NAFTAから撤退すれば悪影響が出る可能性などについても言及している。一方で、そうした影響は米国がカナダとメキシコの間で二国間貿易協定を追求すれば緩和できる可能性があるとした。

トランプ氏がこの文書を見たかどうか、また内容について同氏がどう考えているかについて、移行チームにコメントを求めたが返答はなかった。

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