中国政府、香港独立派2議員の就任阻む 前日には抗議デモ

デモに参加する梁頌恒氏(左)と游蕙禎氏

2016.11.08 Tue posted at 12:11 JST

香港(CNN) 中国全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は7日、香港の議会に当たる立法会選挙で当選した2人の議員の就任を阻む裁定を下した。香港住民の間では、中国の影響力が強まることに対して不安が増大している。

議員就任を阻まれたのは梁頌恒、游蕙禎の両氏。先に行った就任宣誓の中で中国を侮辱的な表現で形容し、「香港は中国ではない」という横断幕を掲げたことから、宣誓が無効とされた。両氏は香港の自治拡大や中国からの独立を掲げて9月の選挙で当選していた。

新華社通信によると、全人代の常務委員会は2人の宣誓問題を巡って異例の権限行使に踏み切り、「誠実さを欠く見苦しい宣誓の読み上げは宣誓を拒むことでもあり、無効とされるべき」との解釈を示した。

この解釈は香港の憲法に当たる基本法に基づくもので、7日の常務委員会で全会一致で承認された。

常務委員会が香港の基本法に対してこれまでに権限を行使したのは過去4回のみ。今回の解釈は、香港立法会議員に対して「中華人民共和国の香港特別行政区に忠誠を誓わなければならない」と定めた基本法104条に基づいている。

就任の宣誓時に「香港は中国ではない」という横断幕を掲げるなどしていた

梁、游の両氏には無効とされた宣誓をやり直す権利も認められていたが、これに対しても香港当局が地元の裁判所に不服を申し立てている。香港の梁振英行政長官は7日、中国政府の今回の決定を執行すると表明した。

両氏と同時に選出された民主派の若手議員3人は、「中国が(宣誓にまつわる)騒ぎに便乗して、香港の司法制度と香港住民の政治的権利を踏みにじった」と非難。基本法についても「もはや香港住民の民主的権利を守れなくなった」と指摘した。

香港にある中国政府の出先機関前では今回の決定が出る前日の6日夜、数千人が集まって抗議デモを展開。デモ隊を解散させようと催涙弾を浴びせる警察に対し、雨傘で対抗した。

香港の袁國強・律政司長は7日、「司法の独立と解釈は、我々の憲法の枠内で共存できる」と述べ、香港の司法権が侵害されたとする見方を否定した。

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