EU離脱めぐる訴訟の原告女性、脅迫の標的に 英

2016.11.07 Mon posted at 14:29 JST

ロンドン(CNN) 英高等法院が欧州連合(EU)からの離脱手続きに議会の承認が必要との判断を下した裁判をめぐり、訴えを起こした投資事業家のジーナ・ミラー氏が激しい脅迫の標的となっている。

ガイアナ出身のミラー氏は過去41年間、英国で暮らしてきた。6月の国民投票でEU離脱派が勝利した後、政府は議会での採決なしで手続きを始めることはできないとする訴えを起こしていた。

今月3日に訴えが認められて以来、ミラー氏はインターネットのツイッターなどを通して人種差別的、性差別的な言葉を投げ付けられたり、「殺す」「強姦する」といった脅迫を受けたりしている。

ミラー氏はBBCラジオの生放送で、ネット上の暴言を警察に通報する考えを示した。「人間以下だ」などと非難されることもあると話し、「人種差別や暴力、敵意をあおる政治家やメディアには本当に腹が立つ」と語った。

脅迫の的となっているジーナ・ミラー氏

高等法院の判断に対し、英国では賛否両論が巻き起こっている。大衆紙デイリー・メールは一面の見出しで、審理に当たった3人の判事を「国民の敵」と非難。テレグラフ紙(電子版)にも「判事対国民」の見出しが躍った。

イングランドとウェールズの法廷弁護士団体は5日、「司法に対する深刻かつ不当な攻撃」を非難する声明を出した。

親EU派団体などからはミラーさんを支援する声も上がっている。

政府は来年3月末までにEUに離脱を通知し、正式な交渉を始める構えだ。最高裁は12月初めに政府の上告を審理する見通し。上告が退けられた場合、離脱手続きは大幅に遅れる可能性が高い。

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