対ISIS、「首都」ラッカでも奪還作戦開始 シリア

シリア北部のラッカに対しても、ISISからの奪還作戦が始まった

2016.11.07 Mon posted at 12:41 JST

(CNN) シリアで米軍の支援を受けて過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦うクルド人やアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」は6日、ISISが「首都」と称する北部ラッカの奪還作戦を開始したことを明らかにした。

SDFは声明で、クルド人とアラブ人、トルクメン人の民兵らが国際部隊と協力して奪還作戦を実行するため、5日夜に合同本部を設置したと述べた。

SDFの報道官が6日、CNNに語ったところによると、米軍が上空から作戦を援護する。最初に郊外を固めたうえで市内へ攻め込む計画だという。

ISISに対しては、イラク軍が先月から同国北部モスルの奪還作戦を進め、先週市内に入ったところだ。

米国のカーター国防長官は6日の声明で、ラッカ奪還作戦開始の発表を歓迎すると表明。「モスルと同様に厳しい戦いと困難が待ち受けているだろう。だがISISが描くイスラム帝国の虚構を崩し、米国や同盟国、友好国にテロを仕掛ける能力を奪うために必要なことだ」と述べ、イラクとシリアの両国で地元部隊を支援していく構えを改めて強調した。

米当局者らはかねて、モスルとラッカの奪還作戦は時期が重なる可能性があると話していた。

イラクのモスルと同時期に攻勢をかけることで、ISISの指揮系統を混乱に陥れる考え

米軍当局者がCNNに語ったところによると、SDFはまずラッカ東郊を掌握してISISの逃げ道をふさぎ、モスルとの間の輸送路を断つ構えだという。

モスルには、ISISがラッカから自爆部隊を送り込んでいるとの情報が流れている。一方で、ISISの戦闘員が家族を連れてモスルから逃げ出し、バスでラッカ方面へ向かったとの目撃談もある。

米軍が主導する有志連合の報道官はCNNとのインタビューで、ラッカ到達までにはしばらく時間がかかるだろうと指摘。一方で、モスルとラッカを同時に攻めればISISの指揮系統を混乱させることができると説明した。

ラッカの街はモスルに比べて小さいが、ISISの本拠と位置付けられているうえ、シリア全体が米国やロシアも巻き込んだ内戦の渦中にあるため、作戦は難航が予想される。SDFに参加する地元民兵組織「クルド人民防衛隊(YPG)」は、有志連合とともに戦うトルコから「テロ組織」の指定を受けている。

SDFはラッカ市民に、ISISのメンバーが集まる場所は攻撃の標的になると警告し、近づかないように呼び掛けている。

ただ現地のCNN特派員によると、市民はメディアやインターネットからほぼ遮断され、だれを信じていいのか分からない心理状態に陥っている。ISISはかねて、クルド人部隊が襲来すれば市民が路上で虐殺されるとの脅しを繰り返してきたという。

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