過激派逃れた女性、避難先でも性的被害 ナイジェリア

避難してきた女性ら=16年1月、ナイジェリア・ボルノ州

2016.11.06 Sun posted at 17:34 JST

(CNN) 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)」は6日までに、アフリカ西部ナイジェリアに拠点を築くイスラム過激派「ボコ・ハラム」の性暴力などから逃れて同国北部の施設に駆け込んだ女性や少女が運営を仕切る政府職員や自警団団員、警官、軍兵士らにレイプされる被害が起きたと報告した。

これら女性の多くは妊娠した後、見捨てられたとしている。HRWのナイジェリア担当の上席調査員は、ボコ・ハラムに心の傷を負わされ早急に支援が必要な女性や少女を守るべき人間が攻撃や虐待を加えていたことは恥ずべき、常軌を逸した行動と糾弾した。

同団体は、ボコ・ハラムの襲撃などでナイジェリア北東部ボルノ州の村落から追われた女性ら計43人に事情を聞き、その体験を報告書にまとめた。うち女性8人はボコ・ハラムに拉致されて結婚を強いられ、州都マイドゥグリへ逃れていた。

被害者4人はHRWに対し、政府が絡む施設ではレイプされる前に薬物を投与されたと証言。37人は結婚や食料を含む物質的かつ金銭の支援の約束でだまされ、性的交渉を強いられたとしている。

30歳の女性はボコ・ハラムに夫を殺害され、若年の娘を拉致された後、残る子どもと共に施設に逃げてきたとの苦難を告白。施設では兵士の1人が結婚申し込みを口実に近付き、必要な日常品などを提供してくれたと説明。ただ、性交渉に応じた後は捨てられるまで物品の施しは減らされていた。その後、妊娠がわかって体調が悪くなったものの、子どもの世話を頼む人もいないと嘆いたという。

ナイジェリア大統領府はHRWの報告書を受け、ブハリ大統領は今回の疑惑に困惑し衝撃を受けているとの声明を発表。軽視出来ない問題とし、同国警察の査察担当責任者らに早急な調査開始を指示したとした。

ナイジェリア北部などで武装闘争を展開するボコ・ハラムによる地元住民への被害は甚大で、政府や援助団体による支援活動も大きな成果を得ていない。ボコ・ハラムによるテロ攻撃などでこれまで住民ら2万人以上が死亡し、数千人規模が居住先を失い、約250万人が避難を強いられたとされる。

2014年にはチボックの学校から女子学生約300人を誘拐する事件を起こし、解放を求める運動が国際社会で起きていた。これら女子学生の一部は逃走に成功したり助け出されていたが、残る多数は依然監禁されているとみられる。

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