メキシコが経済防衛の準備、トランプ氏当選に備え

メキシコがトランプ大統領誕生に向けた「防衛策」の準備を進めている

2016.11.06 Sun posted at 15:43 JST

ニューヨーク(CNNMoney) メキシコの中央銀行総裁は6日までに、米大統領選で共和党のドナルド・トランプ候補が当選した場合に備え、メキシコ経済への悪影響を乗り切る緊急対応策を準備していることを明らかにした。

トランプ氏当選による自国経済への衝撃を「ハリケーン」とも称して警戒している。緊急対応策の詳細は公表されていないが、トランプ氏をメキシコの大きな脅威と認識していることを裏付けている。

中銀のアグスティン・カルステン総裁は地元のミレニオTVの取材に、緊急対応策は財務相と話し合って詰めていると述べた。

トランプ候補は大統領選の選挙戦で、雇用対策などの面から米企業がメキシコ内で製造し米国内で売る製品に35%の輸入関税を課す考えを表明。メキシコは経済活動の3分の1を輸出に頼り、ほぼ全ての製品が米国市場向けとなっている。

トランプ氏はまた、協定の再交渉がない場合、カナダやメキシコと締結する「北米自由貿易協定(NAFTA)」を破棄する計画にも言及。不法移民対策でメキシコとの国境沿いに壁を築き、その工費をメキシコ側に負担させる案も明らかにしている。メキシコ大統領は工費支払いを拒否している。

メキシコを否定的にとらえるトランプ氏の政策提言はメキシコ通貨ペソの価値減少にもつながり、今年に入り9%目減りしている。トランプ氏の支持率が上がれば、ペソの価値が下がる循環にもなっている。

トランプ氏はメキシコとの国境に「壁」を造るという考えも示している

アナリストたちは、仮に同氏が次期大統領に当選した場合、大規模なペソ売りが生じ、メキシコ経済の疲弊がさらに悪化するとも予想している。

ただ、ペソ安が進めばメキシコの輸出力が高まり、外資の呼び込みに有利となる側面もある。海外居住のメキシコ人による親族らへの送金がより多くのペソを得られる効果もある。

メキシコ経済は最近減速しているが、原油価格の低迷や政府の緊縮政策も一因となっている。同国は最近、四半期ベースではここ2年で最悪となる年間の経済成長率を発表していた。

貿易の専門家たちは、トランプ氏が当選してNAFTAが廃棄され、自動車大手フォードなどの製品に輸入関税が課されるような事態になれば米国の利益にはならないと主張している。米商工会議所によると、メキシコとの貿易に関係する米国内の就業人口は600万人。

メキシコ中銀のカルステン総裁は、米大統領選の結果に左右される経済の緊急対応策を行使する必要がないことを望むと述べた。

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