(CNN) 英高等法院は3日、英国の欧州連合(EU)離脱の正式な手続きの開始には議会の承認が必要だとの判断を下した。
EUとの離脱協議を正式に開始するには、EUの基本条約である「リスボン条約」50条を発動させ、離脱を通知する必要がある。
英メイ内閣は議会に諮ることなく50条を発動する予定だったが、ロンドンの実業家で慈善活動家のジーナ・ミラー氏らが起こした裁判がそれに待ったをかけた。
政府は離脱プロセスについてはっきりとした計画を明らかにしていないが、議会の承認なしに離脱通告ができないとなれば、さらなるプロセスの遅れや世論の不満が予想される。
ミラー氏はガイアナ出身。子ども時代から40年以上にわたって英国に暮らし、現在は夫とともに投資ファンドを経営している。
6月の国民投票で離脱派が勝利した際には「体調が悪くなった」というが、その翌朝には議会の承認なしに政府が離脱手続きを始められないような手を打つ計画を立てていた。
英政府は最高裁に上訴する意向を示している。また、来年3月末までに50条を発動するつもりだという。
英政府の報道官は「議会が制定した法の認める国民投票において、国民はEU離脱を選んだ。そして政府は国民投票の結果を尊重する決意だ」と述べた。
専門家によれば、議会が離脱手続きの開始を完全に阻止するとは考えにくい。だが今回の判決が開始を遅らせる可能性はある。とりわけ上院での反対意見が見込まれる。
また今回の判決を受けて、政府がEUとの交渉でどのような取り決めを行うかについても議会側が影響を与えられるようになるかも知れない。
政府の上訴に関して、英最高裁は12月上旬に審理を行う見込みだ。