がんで死亡する女性、2030年までに60%増の予想

がんによる女性の死亡リスクが今後大幅に高まるとの見通しが示された

2016.11.03 Thu posted at 12:00 JST

(CNN) 米がん協会は2日に発表した報告書で、世界でがんのために死亡する女性は2012年の350万人から、2030年までにはほぼ60%増の550万人に達するとの見通しを明らかにした。

報告書はパリで開かれた世界がん学会議で発表された。特に低~中所得の国ではがんによる死者が急増すると予想。そうした国では寿命が伸びる一方で、喫煙や不健康な食生活といったリスクの高い習慣が広まりつつあると指摘している。

2012年の時点でのがんの報告率は、検査が普及していることもあって高所得の国の方が高い。がんの症例数が多い国はデンマークを筆頭に米国、韓国、オランダ、ベルギーの順だった。

米国ではがんの発生率と死亡率が1991年以来20%低下した。これは主に喫煙対策や治療が進んだことに起因する。

一方、医療態勢が整っていないジンバブエ、マラウイ、ケニア、モンゴル、パプアニューギニアといった貧困国ではがんによる死亡率が高かった。

早期発見が治療の鍵となる乳がんの場合、国による差が鮮明だった。乳がん患者の5年生存率は、カナダ、オーストラリア、イスラエル、ブラジル、北欧や西欧といった所得の高い国では85%を超えている。

一方、南アフリカ、モンゴル、アルジェリア、インドなど低~中所得の国では60%以下だった。

がんの国別の症例数には各国の所得に基づく明確な差異が生じている

世界で2012年に死亡した女性のうち、がんで死亡した女性は心血管系疾患に次いで2番目に多かった。特に乳がん、結腸直腸がん、肺がん、子宮頸がんによる死者が多数を占めている。

世界的には乳がんの症例数が最も多いものの、中国と北朝鮮では肺がんが乳がんを上回った。その理由について報告書を執筆したサリー・コウェル氏は、「中国では男性の約50%、女性の2%が喫煙する」「このため多くの女性が受動喫煙にさらされる。言うまでもなく環境汚染の影響もある」と解説する。

一方、アフリカの多くの国では子宮頸がんの症例数が最も多い。HIVに感染していると子宮頸がんにかかる確率が5倍になるとコウェル氏は話し、「アフリカ南部や東部ではHIVの感染率が高いため、子宮頸がんの罹患(りかん)率も高い」と説明した。

女性のがんによる経済損失は、2009年に世界で2860億ドル(約29兆円)と推定された。これは主に働く世代の早世に起因している。

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