英情報機関トップが語る「ロシアの脅威」、多様な工作に警戒

ロシアのプーチン大統領。同国が英国や欧州全体に及ぼす脅威は増大しているという

2016.11.02 Wed posted at 15:48 JST

ロンドン(CNN) 英情報局保安部(MI5)のアンドリュー・パーカー長官は1日付の英紙ガーディアンに掲載されたインタビューで、ロシアが英国や欧州全体に及ぼす脅威は増大しているとの見方を示した。

現役のMI5長官が新聞社のインタビューに応じたのは初めて。パーカー長官は「英国が直面する諸外国からの隠れた脅威」に言及し、特にロシアが「宣伝工作やスパイ行為、反政府活動、サイバー攻撃」などの手口を駆使しながら攻勢を強めていると主張。この脅威を阻止するのが「MI5の仕事だ」と述べた。

また「ロシアは過去数十年間にわたってひそかに脅威を及ぼしてきたが、最近は手口が多様化している点が従来と違う」「ロシアは自国を欧米への対抗勢力と位置付ける傾向を強め、その位置付け通りに行動しているようだ」と語った。

これに対してロシアのペスコフ大統領報道官は1日、モスクワでの記者会見で「事実ではない。同意しかねる」と述べ、長官の発言をはねつけた。

在英ロシア大使館は「専門家が宣伝工作で作った架空の世界にとらわれているのは悲しい光景だ」とツイートし、冷戦時代の思い込みを皮肉った米映画「アメリカ上陸作戦」のポスターの画像を投稿した。

テロ対策として編成されたロンドンの武装警官隊

パーカー長官はインタビューで、イスラム過激派による脅威も強調した。長官が31日、ロンドンでの講演で語ったところによると、英当局は2013年6月以降、イスラム過激派によるテロ計画12件を未然に阻止してきたという。

長官は「私がMI5に勤めてきた33年間で、テロ活動がこれほど盛んだった時期はない」と指摘。「我々はほとんどの計画を見つけて阻止するが、全て阻止できるわけではない」と述べて警戒を促した。

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