配車サービスで人種差別か、解約率や待ち時間に差 米調査

米配車サービスの運転手が利用客の人種や性別によって対応を変えているとの研究結果が発表された

2016.11.01 Tue posted at 17:22 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米配車サービス「ウーバー」や「リフト」の運転手は、顧客の人種や性別によって対応を変えているとの研究結果を、米マサチューセッツ工科大学(MIT)などの共同チームが31日に発表した。

MITとスタンフォード大学、ワシントン大学の教授らがシアトルとボストンの2都市で実験を行い、1500件の利用例を比較した。参加者はルートやスマートフォンの機種などをそろえて配車を依頼し、車が手配できるまでの待ち時間や実際の乗車時間、到着時間などを記録した。

ウーバーとリフトはともに一般市民が契約運転手として登録し、自家用車を使って送迎サービスを提供する形式だ。配車を依頼すると、リフトの運転手には依頼者の名前と写真が表示される。ウーバーの運転手は依頼を引き受けた後で相手の名前を知らされるが、依頼者の外見や目的地は実際に乗せるまで分からない。いったん引き受けた依頼をキャンセルした運転手には、都市ごとに規定された金額が科されることになっている。

研究を率いたMITのクリストファー・ニッテル教授は「差別が見つからないことを願って研究を始めたが、実際にははっきりした差別がみられた」と話す。

ボストン市内のデータで、ウーバーの運転手が相手の名前を知ってからキャンセルした率を比較すると、「アフリカ系に聞こえる名前」は「白人に聞こえる名前」の2倍に上っていた。ウーバーの車が手配されるまでの待ち時間は、黒人のほうが白人より30%長かった。

シアトル市内でリフトへの配車依頼が通るまでの時間も、白人男性よりアフリカ系男性の方が長くかかった。

この研究ではさらに、乗客の性別に注目すると女性は乗車時間が長く、同じルートでも男性より走行距離が5%多くなることが明らかになった。女性が相手だと運転手が料金をつり上げようとしたり、乗客と親しくなろうとしたりするためではないかと、研究チームは指摘する。

ニッテル教授はさらに、ほかの都市や業界にも同様の差別があるとの見方を示す。例えば同チームがシアトルのタクシー業界について調べたところ、タクシーを拾おうとしているのが白人だと60%近い確率で最初のタクシーが止まるのに対し、黒人の場合は20%未満だった。

民泊仲介サイトの「エアビーアンドビー」も昨年来、宿泊先の「ホスト」がアフリカ系の名前を持つ「ゲスト」の予約を断る傾向があると指摘されている。

ニッテル教授は、差別をできるだけなくすことは企業側の責任だと強調。ウーバーやリフトに対し、顧客の名前や写真の代わりに利用者番号を使ってはどうかと提案している。また両社が研究者とデータを共有するなど、透明性を高めることが改善への一歩になると話している。

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