ソウル(CNN) 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が民間人の友人に国家文書を漏らしていたことが発覚し、大統領の辞任を求める声が強まっている。
30日には渦中の友人、崔順実(チェスンシル)氏が検察の事情聴取を受けるためにソウルに戻った。弁護士によると、崔氏は「事実に基づいて証言する」意向だといい、「世間を苛立たせ、失望させたことを深く悔いている」という。
聯合通信によると、29日夕には大統領の辞任要求デモが行われ、警察の推計で1万2000人が参加していた。
混乱が深まる中で朴大統領は28日、首席秘書官10人に辞任を命じた。大統領報道官は「大統領が近い将来、大統領府の刷新を行う」と説明。辞任を命じられたのは政策調整や政務、民事、外交、国家安全保障、広報、経済、未来戦略、教育文化、雇用、福祉、人事などを担う秘書官だという。
これに先立つ25日、朴大統領は国家文書を崔氏に渡して2012年の大統領選挙前の演説について意見を求めたことを認めていた。
テレビ演説で謝罪した朴大統領は、就任後の一定期間にわたって崔氏に一部の文書を見せていたと語ったが、見せた文書の内容は明らかにしなかった。
演説では「国民に懸念を生じさせたことにショックを受け、心をいためている」「(文書の共有は)念入りに(文書を)検討したいという純粋な気持ちからやった」と弁明した。
この問題は、CNN系列局JTBCの報道が発端となって発覚した。同局によると、崔氏が機密文書を受け取り、国政に介入していたことを示す証拠が同氏のコンピューターから大量に見つかったとされる。
地元メディアや野党各党は、崔氏が朴大統領との関係を不正に利用して、2つの財団に対し地方の大手複合企業に多額の資金を拠出させたとして非難している。
韓国の検察は27日、この事件のための特別捜査班を設置した。韓国の憲法では現職大統領の朴氏は刑事訴追を免れるが、反乱罪と反逆罪は例外扱いとなる。検察は迅速かつ徹底した捜査を行う方針。
世論調査機関が実施した調査で27日、朴大統領の支持率は過去最低の21.1%に急落した。朴大統領の任期は2018年初めまで。就任してからの3年間は、30~50%の支持率を保っていた。