仏カレーの難民キャンプ、6900人の立ち退き作業開始へ

フランス北部カレーの難民キャンプ

2016.10.24 Mon posted at 12:33 JST

フランス・カレー(CNN) フランス北部の港湾都市カレーで難民キャンプに寝泊まりしている数千人を立ち退かせる作業の開始が現地時間24日に迫り、住人と警官隊が衝突するなど緊張が高まっている。

当局は同キャンプに滞在する難民に対し、フランスで難民認定を申請するか、出身国に戻るかの選択を迫っている。

キャンプでは6900人がテントや仮設住宅で野営する。うち1200人以上は子どもが占める。

支援団体によると、22日夜には難民と警察の間で衝突が起き、キャンプ内にある建物多数が焼失した。

内務省によれば、撤去作業を翌日に控えた23日には1000人以上の警官が配備された。

23日夜には機動隊を運ぶ車両の姿も見られた

当局は12月までにキャンプを完全撤去する計画。キャンプはかつて埋立地だった砂地に約16万平方メートルにわたって広がり、「ジャングル」と呼ばれていた。

同地で暮らす難民は英国を目指しているためフランスでの難民認定申請には二の足を踏む。スーダンから来たという難民は「英国への渡航費もフランスでの滞在費もない」と肩を落とした。

キャンプ内の学校でボランティアでフランス語を教える教員は難民たちの置かれた状況について、「どこへ行けばいいのかも、友人たちと一緒にいられるかどうかもわからず、ひどく不安を募らせている」と語る。

23日にはボランティアがキャンプの撤去と今後の選択肢について告げるチラシを配って歩いた。

難民キャンプには約6900人が暮らしている

当局によると、難民キャンプの住人には24日午前8時から先着順で対応する。23日には複数の言語で住人に立ち退きを告げる通知を配ったという。難民は今週いっぱいかけて、バスでフランス国内の滞在施設に移動してもらう計画。宿泊場所と食事は保証するとしている。保護者のいない未成年は特別に配慮する。

一方、本国に戻ることを希望する場合は帰国便を手配る。また、欧州連合(EU)加盟国で既に難民認定を申請している場合は、その国に送り届ける。

キャンプに滞在する難民のほとんどはアフリカのスーダン、エリトリア、エチオピア、およびアフガニスタンの出身で、対岸の英国に渡る目的で数カ月から数年の間、同地にとどまっていた。内戦の混乱が続くシリアやイラクの難民も滞在している。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官は先にジュネーブで開いた記者会見で、フランス政府が難民のための適切な措置を取る限り、キャンプの撤去は歓迎すると表明。保護者のいない子どもは親族と再会できるよう、特別なはからいが必要だと述べていた。

国連によると、カレーにいる保護者のいない子どものうち200人は英国に親類縁者がいることが分かった。英政府はそうした子どもを受け入れると表明しているが、これまでに英国行きが実現したのは数人にとどまっている。

仏カレーの難民キャンプ「ジャングル」

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