(CNN) 米テネシー川流域開発公社(TVA)は21日までに、テネシー州のワッツバー原子力発電所2号機が商業運転を始めたと発表した。米国で新しい原子炉が商用稼働を始めるのは20年ぶり。
TVAのビル・ジョンソン社長は、2号機は南部の数州に今後少なくとも30年程度、クリーンで安価で安定したエネルギーを供給すると述べた。
2基の原子炉で130万世帯に電力を供給することを目的に、ワッツバー原発の建設が始まったのは1973年のことだ。
だが設計上の問題から1号機の完成は遅れ、1996年にようやく運転を開始。ある報道によれば、1号機の建設費は当初予算の3億7000万ドル(現在のレートで約385億円)を大きく上回る68億ドルだったという。
ワッツバー原発の建設案が浮上したのは米原子力産業の黄金時代だった。1970年代にはいくつもの原発の建設が認可された。
だが79年にスリーマイル島原発の事故が起き、米政府は原発への規制を強化。原子力産業の急成長にブレーキがかかった。
その7年後に起きたチェルノブイリ原発事故も米原子力産業にとって大きな逆風となった。電力会社はコストの急増に直面し、複数の原発の建設計画が撤回された。
TVAもコスト増と世論の反原発感情にさらされ、経営が悪化。80年代後半にワッツバー2号機の建設は中断される。
だが2000年代に入り、環境規制の強化を受け、火力発電の代替として原子力は再び注目を集めるようになる。規制当局も原発の新設を認めるようになり、TVAは2007年、2号機の建設を再開した。
完成までに5年という計画だったが、実際にはこれを超過した。建設費用は当初予算をはるかに上回る47億ドルだった。