(CNN) フィリピンで長年にわたって独裁政権を率いたマルコス元大統領の遺体を国立英雄墓地に埋葬する計画に対し、市民から反対の声が上がっている問題で、同国の最高裁判所が18日に判断を下す。
最高裁により埋葬が認められれば、数千人規模の国民が反対の声を上げると見込まれている。
マルコス氏の遺体は現在、北イロコス州にある一族の霊廟(れいびょう)に保存されている。英雄墓地への埋葬は、ドゥテルテ大統領が今年8月に発表。遺体を9月18日に移す方針を示していたが、在任中の人権侵害などを理由に犠牲者の遺族らが強い反発を示し、約3万人の署名を集めて最高裁に差し止めを申し立てた。
ドゥテルテ大統領は16日、「最高裁が感情でなく公共の利益に基づいて判断を下すよう願っている」と語り、判断には従うと表明した。
これに対し、反対派の弁護士組合の責任者は「マルコス氏がファシストの独裁者であり、横領の達人だったという歴史上の事実」を最高裁は確認するべきだと主張した。
マルコス氏は1986年まで約20年にわたって独裁政権を率い、戒厳令を敷いて反対派を弾圧した。今では当時のことを知らない若者も多く、一族は政界への影響力を維持している。
息子のフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏は今年5月の副大統領選に出馬したが小差で敗れた。イメルダ夫人は、巨額の公金を横領した罪に問われたにもかかわらず下院議員に当選し、現在4期目。
北イロコス州の知事を務める娘のアイミー氏は17日の集会で演説に立ち、ドゥテルテ大統領が示す埋葬計画は国民の和解につながると訴えた。