(CNN) 大型ハリケーン「マシュー」の襲来で最大の被害を受けたカリブ海の島国ハイチの民生防衛当局者は9日までに、死者が増え少なくとも336人に達したことを明らかにした。行方不明者は4人、負傷者は211人で、避難した住民は6万人以上となっている。
ただ、同国の上院議員はCNNの取材に、犠牲者などの正確な人数は把握していないとし、死傷者が今後増える可能性に言及した。ロイター通信は民生防衛当局者の情報として800人超の死者数を報じている。
カリブ海を北上したマシューは4日、「カテゴリー4」の勢力でハイチ南西部に上陸。物的被害も甚大となっている。ハリケーンの規模は風速別に5段階に分けられ、カテゴリー4は上から2番目の勢力となっている。
ハイチの首都ポルトープランスなどで取材するCNN記者は、通信手段が途絶され、停電が起きていた激甚地域に救援隊が到達し始め、判明する死者数が1時間ごとに増えていると報告。被害の全容の把握は始まったばかりと伝えた。
ハイチでは2010年、マグニチュード(M)7.0の大地震が発生、数十万人規模の住民が死亡した。これに伴い深刻なコレラ感染が広がり、同地震以降では少なくとも1万人が亡くなった。今回のハリケーン被害でコレラ被害がさらに拡散する恐れもある。
国連当局者は、ハイチへのマシュー襲来は10年の大地震以降、最悪の人道危機と位置付けている。他のカリブ海諸国でも被害が出ている。
マシューはその後も北上を続け、米南部サウスカロライナ州マクレランビルの南東部に米東部時間の8日午前11時ごろ、上陸した。米ハリケーンセンターによると上陸した際の勢力はカテゴリー1で、大西洋に向かっているという。
米当局によると、マシュー接近に伴う米国内での犠牲者は計10人が確認された。ノースカロライナ、ジョージア両州でそれぞれ3人、フロリダ州で4人となっている。