(CNN) アサド政権軍と反体制派の戦闘が続くシリアに、同政権を支援するロシアが新たなミサイルシステムを配備していることが分かった。当局者が4日、CNNに語った。
高性能の地対空ミサイルシステム「S300」で、先週末にシリア北西部へ搬入された。現時点で稼働には至っていない。
新たな配備によって、この地域でのロシアの対空戦闘能力は大きく向上する見通し。米軍機を狙う意図はないとみられるものの、この動きに懸念を示す米当局者もいる。
具体的な配備先としてはラタキア国際空港かマスヤーフ、バニヤスの丘陵地という3つのシナリオが考えられる。十分な高度に配備された場合、そのレーダーは東部デリゾールまで見渡せるようになるとみられ、戦場の流れを変える可能性がある。
デリゾールは過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の支配地に近く、米主導の有志連合軍による対ISIS作戦の拠点となっている。
米当局者らによると、ロシアにはシリア上空の防空態勢をデリゾールまで拡大することで、アサド政権が国内の広い地域を掌握していると世界に印象付ける狙いがあるようだ。
しかし現状に詳しい米当局者によると、実際には反体制派などの戦闘員およそ10万人が国内各地に展開しているとみられ、内戦はこう着状態に陥っている。
米政権は今のところアサド政権に対する軍事行動を検討していないとされるが、将来の可能性については内部でも意見が分かれている模様だ。