北朝鮮、米大統領選に合わせ挑発行動も 米シンクタンク予想

北朝鮮が米大統領選に合わせて挑発行為を行う可能性があるとの見方が出ている

2016.10.04 Tue posted at 11:02 JST

(CNN) 北朝鮮が11月の米大統領選挙の前後に、核実験やロケット打ち上げなどの挑発行動を行う可能性があるとする研究論文を、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)がまとめた。

CSISによれば、北朝鮮は過去60年にわたり、米大統領選挙に合わせて緊張を高めようとする動きを見せてきた。特に近年はその傾向が強まっているといい、例えばオバマ氏が大統領選で勝利した直後には、ミサイル実験と核実験を実施した。

こうした実験には米国の次期大統領を脅す狙いがあると専門家は分析。「北朝鮮は、世界の注目、中でも米国の注目が最も集まる時期を選んでいる」と述べ、今年の大統領選に合わせて計画しているのは「6回目の核実験かもしれないし、衛星を軌道に送り込むためのロケット打ち上げかもしれない」との見方を示した。

この研究論文は週内にもCSISのウェブサイトに掲載される。

一方で、金正恩(キムジョンウン)氏が2011年に死去した父・金正日(キムジョンイル)氏の継承者となって以来、北朝鮮の挑発は象徴的な行動から、確実な軍事実験へとシフトしたとの見方もある。

北朝鮮は今年に入り、ミサイル実験などを繰り返している

2010年に韓国の延坪島が砲撃された事件や、2010年に韓国の軍艦「天安」が魚雷で沈没した事件など、死傷者を伴う事件は正日氏の死後は減少した。

唯一の例外として、昨年8月には非武装地帯に仕掛けられた地雷で韓国の兵士2人が負傷している。しかし北朝鮮事情に詳しいケン・ゴース氏は、「この8月の事件を除けば、金正恩氏の挑発は大部分、ミサイル実験や核実験、サイバー攻撃に限定されている」と解説する。

北朝鮮情報サイト「38ノース」によれば、北朝鮮の兵器開発実験はここ数年で激増し、今年だけで15回のミサイル実験を実施した。

昨今はいかなる挑発行為であっても事態をエスカレートさせる危険が増すと専門家は指摘する。

北朝鮮問題は次期大統領にとっても対応が困難な課題となるとの見方も

2010年以降、韓国では軍が政治判断を待たずに挑発行為に対して反応することが容易になった。米中央情報局(CIA)の調査員だったブルース・クリングナー氏は、「(韓国軍は)以前よりも早く報復措置に出る公算が大きい。飛躍的な反応に出る可能性も大きい」と話す。

さらに、核能力を増大させている北朝鮮が増長し、「挑発だけにとどまらず、実際の攻撃に出る可能性もある」とクリングナー氏は言う。

CIAのブレナン長官は、次期大統領にとって北朝鮮は最も対応が困難な国家安全保障上の課題になるとの見方を示す。

それにもかかわらず、米国には北朝鮮の核開発を阻止する手段がほとんどないと、CSISのマイケル・グリーン氏は指摘する。「これが外交で解決できるとは思わない」と同氏は述べ、「米国が同盟国やパートナー、それにうまくいけば中国と共にできることは、北朝鮮の技術利用や資金を締め付け、核開発を減速させ、交渉の場を整えることだ」と話している。

北朝鮮、米大統領選に合わせて挑発行為か

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