(CNN) 9月に発生した洪水で壊滅的な被害が出た北朝鮮北東部の咸鏡北道は、1カ月たった今も大勢の被災者が避難生活を続け、呼吸器などの疾患が広がっている。
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は9月30日の声明で、10月になって雪が降れば被災者が一層の窮状に追い込まれる恐れもあると指摘し、「石炭の供給は途絶え、被災者は木の枝を燃やして暖を取っている。2次災害の危険が現実と化している」と危機感を示した。
年齢を問わず、呼吸器感染症や下痢と診断される人も増えているという。
過去数十年で最悪とされる今回の洪水では数百人が死亡、7万人が家を失い、人道支援を必要とする人は14万人に上る。
これまでのところ、現地入りした市民ボランティアらが救援物資を配ったり、2万8000人に避難所を提供したりするなどの活動を続けているが、支援活動は「時間との戦い」になっているという。
IFRCは9月21日、33万人を支援するため1550万ドル(約15億7000万円)の緊急寄付を呼びかけたが、これまでに集まった金額はその11%にとどまる。
被災地は北朝鮮でも特に貧困が深刻な地域で、地元への食料供給に欠かせない耕作地も2万7000ヘクタール以上が洪水のために破壊された。
診療所も45カ所が被災して十分な医療が受けられなくなり、60万人は安全な水の供給を断たれている。
被災者は現在、公共施設などに身を寄せており、IFRCや北朝鮮政府は被災者のための住宅の建設に着手した。
朝鮮中央通信の報道によると、29日には鉄道の運行が再開され、建設資材や救援物資の搬入ができるようになる見通し。