英主要企業の76%、本社移転など検討 EU離脱で

EU離脱の決定を受け、主要な英企業の多くが国外への業務機能移転を検討=CNNMoney

2016.09.29 Thu posted at 19:12 JST

ロンドン(CNNMoney) 今年6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた英国の企業を率いる最高経営責任者(CEO)の76%が投票結果を受け、本社もしくは一部の業務を英国外へ移転させることを検討対象にしたことがあるとのアンケート調査結果が29日までに公表された。

調査は、監査や税務業務などの大手企業KPMGが英国の主要企業100社を対象に実施した。

KPMG英国法人のサイモン・コリンズ会長は、CEOらが緊急事態用の対策や選択肢を考慮しないのは驚くべきことでありほとんど怠慢といえるとの見方を表明。本社の海外移転は大きな話題になるとして、英国外への業務移管は今後、注目を集めないような形で実施される可能性に言及した。

英国政府は最大の貿易相手であるEUからの離脱方法の詳細をまだ発表していない。脱退の仕方によっては雇用、貿易、投資を含めた経済全般に大きな影響が出ると指摘されている。

アンケート調査結果によると、大半のCEOらは今後数年間の英国経済や自社の業務の見通しについては楽観的な見方を示した。しかし、半分以上はEU離脱によって英国の事業活動は将来、支障を受けるとの懸念を表明した。

英ロンドンのビジネス街カナリー・ワーフ

英国企業がEU脱退に不安を覚えている現状は、会計業務などの大手PwCと財界団体の英国産業連盟が共同実施した別のアンケート調査でも明るみに出た。同調査では、金融機関の53%が離脱は事業に悪影響を及ぼすと回答。好材料になるとしたのはわずか12%だった。

PwCなどによる調査は金融業界の115社が対象。これら企業の雇用人口は約200万人となっている。同調査では事業活動への楽観的見通しは3四半期連続で減少。悲観論が増え続けた期間としては国際的な金融危機以降、最長となった。

英国政府の公式統計によると、EU域内で自由に業務を展開出来る「金融パスポート」に大きく頼っている英国企業は約5500社。EU離脱でこの恩恵を失った場合、その弊害は甚大になると予想されている。

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