ワシントン(CNN) 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が、選挙陣営の関係者がテレビ討論会での苦戦を認める発言をしたことに怒りを示したことがわかった。
関係筋によると、側近らは28日午後に行われた有力な支持者たちとの電話会議で、次の討論会までに準備のしかたや戦術を変えるようにトランプ氏に働きかけたことを側近が公に認めた点について、トランプ氏がいらだち、すぐにやめるように求めたことを明らかにした。
側近らは支持者に、トランプ氏が従来型候補であるクリントン氏と異なる「政界のアウトサイダー」というイメージの強化に成功したと語るように要請。また、クリントン氏が30年近く公的な立場にいながらほとんど成果がないといったトランプ氏の言葉も重点的に広めて欲しいと述べたという。
だが、トランプ陣営の広報担当者は「今日の電話会議についての描写はまったくの嘘だ」と述べ、会議の内容を否定した。
第1回討論会の失敗を受けて、トランプ氏周辺では同氏がメッセージや戦術に注力すべきだと理解してくれたとの期待が高まっているとの情報もある。トランプ氏は討論会前に通常の準備を行わず、共和党予備選でも得意とした即席のアプローチを好んだ。
側近らは第1回討論会がうまく行かなかったことをトランプ氏本人に伝え、顧問の一人はトランプ氏がそれを認知していると明言した。
側近の一人は、トランプ氏は「ストーブが熱い」と言っても従う人物でなく、実際そうなのか触ってみる男だと評した。別の側近は、現実を考えれば、討論会のパフォーマンスはできる中でベストだったと語った。
予想されるクリントン氏の攻撃に逆襲する準備も整っていたが、「それを使わなかっただけ」「次回も機会を逃すような男でないことを我々は知っている」と述べる側近もいた。
だが、情報筋によると、10月9日の第2回討論会を前に、トランプ氏が支持層を拡大する必要性をまだ分かっていない様子だという。支持層の拡大には、トランプ氏の気質や政治姿勢、大統領としての資質に納得していない新たな有権者を取り込む必要がある。
27日にトランプ氏が別の取り組み方をすべきだったと進言された時には、トランプ氏は自分は支持層の好むやり方でアプローチしていると反論したという。
また、陣営が一枚岩でないことも課題のようだ。顧問の2人によると、ときには全く異なる意見も存在し、それがトランプ氏の討論会への集中不足を招き、従来の準備は不要との認識に至らせた主な要因だという。