仏カレーの難民キャンプ、年内に完全撤去へ 大統領が発表

カレーを訪れたフランスのオランド大統領

2016.09.27 Tue posted at 12:17 JST

(CNN) フランスのオランド大統領は26日、北部カレーを訪問し、同地にある難民キャンプを年内に完全撤去する方針を表明した。

カレーのキャンプは「ジャングル」と呼ばれ、数千人の難民や移民が不衛生な環境で暮らす。オランド大統領は撤去理由について「カレーの人々の安全と公衆秩序を守り、移民や難民の尊厳ある環境を確保するため」と説明。ここには難民のための場所はないと述べ、同キャンプに身を寄せている人たちは「必要な限り保護する」と強調した。

オランド大統領によると、同キャンプに滞在する難民は8月の統計で少なくとも7000人に上る。内務省によれば、保護者のいない未成年も900人いるという。

別の場所に移った難民がカレーに戻ることは認めない方針。再び同地に住みつくことのないよう、治安対策も導入するとした。

しかし同地で活動する支援団体によれば、今年2月には同キャンプの半分以上が撤去されたにもかかわらず、再び戻って来る人が後を絶たず、半年後にはそれまで以上の規模に膨れ上がったという。同団体の関係者は、キャンプの撤去は「生活環境の非人道性を悪化させるだけ」と指摘した上で持続可能な長期的対策の必要性を説き、「難民キャンプが移民危機に対する長期的な解決策だとは言わないが、長期的な解決策が確立されるまで撤去すべきではない」と訴えた。

「ジャングル」と称されるキャンプには、8月時点で少なくとも7000人の難民が滞在

フランス当局によると、カレーの難民はフランス国内1万2000カ所の施設に移ってもらう方針。それぞれの施設に100~300人を入居させる。

ただ、カレーに身を寄せている人の多くはフランスでの難民認定は希望しておらず、英国に入国する目的でカレーに滞在している。英国行きのトラックに飛び乗って隠れ、密入国を図る人も後を絶たない。

オランド大統領は英国に対しても、難民への対応を支援するよう呼びかけた。

これに対して英内務省は、「カレーのキャンプの撤去はフランス政府の問題」だと突っぱね、「カレーにおける共通の国境」を守ることに引き続き尽力し、そのためにフランスと緊密に連携していると強調した。

英国は先に、移民や難民の英国流入を阻止する目的でカレーに高さ約4メートルの「巨大な壁」を新設する計画を発表している。

オランド大統領はカレー滞在中も難民キャンプの視察は行わない見通しで、治安当局や議員、経済界の関係者らと会談する。

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