(CNN) ヨルダンの首都アンマンで25日、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の風刺画をフェイスブックに投稿して宗教冒瀆(ぼうとく)の罪に問われていた著名評論家が銃撃を受けて死亡した。国営ペトラ通信が伝えた。
死亡したのはキリスト教徒で政治評論家、コラムニストのナヒド・ハタル氏。出廷先の裁判所前で3発撃たれ、近くの病院へ運ばれたが死亡した。
ペトラ通信によると、治安部隊が犯人を拘束し、当局が捜査を進めている。
ハタル氏は先月、フェイスブックに投稿した風刺画でイスラム教団体などの怒りを買い、神を冒瀆したとして拘束された。宗教を侮辱し、宗派間の対立や人種差別をあおった罪に問われたが、今月に入って保釈されていた。
問題の風刺画には、あごひげを生やした男性が天国で2人の女性とベッドに入り、神にワインや食べ物を注文する姿が描かれていた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ地域担当責任者によると、ハタル氏はこれを投稿した数時間後、ソーシャルメディア上で「ISISのゆがんだ楽園を批判するのが目的」と説明したが、だれも耳を傾けなかったという。
同責任者によれば、ハタル氏はこれまでもシリアのアサド大統領を支持する記事を書くなど、独自の主張で物議を醸していた。
ハタル氏の裁判をめぐっては、司法当局が8月に報道禁止命令を出していた。ヨルダン首相府は25日、ツイッター上でハタル氏の殺害を非難。政府報道官は犯人への厳正な処罰を約束した。
ヨルダンは米国が主導する対ISIS有志連合の主要構成国として、空爆や基地提供などに協力している。