ロシア、緊急用財源が枯渇の危機 資源価格低迷

緊急用の財源が減少の一途をたどっている

2016.09.18 Sun posted at 17:29 JST

ロンドン(CNNMoney) ロシア財務省は18日までに、緊急事態に備えた手持ち資金が9月に322億ドル(約3兆2844億円)に縮小したことを明らかにした。原油価格の低下が加速する直前の2014年9月の917億ドルからは大幅減少となった。

財源は今後も減り続けて今年末までに150億ドルとなり、その後の早い時期に完全に払底するとの見方も出ている。国際金融協会の首席エコノミストは最近、枯渇の時期は来年半ばもしくはその数カ月後との予測を示していた。

ロシアはここ2年ほど、エネルギー価格の下落やウクライナ危機に起因する欧米諸国の経済制裁のしわ寄せによる景気停滞に直面している。

緊急事態用の財源は原油やガス収入が低調で国家予算に赤字が生まれた時などの使途をにらんでいる。ロシアの今年の国家予算は原油販売価格が1バレル当たり50ドルを見込んで編成されていたが、年初から8月までの期間の平均価格は43ドル以下で推移してきた。

ロシアの国家予算のうち原油収入は37%分を賄っているが、2年前には約半分の比率だった。17年の国家予算は今月18日の議会下院選後に発表する予定。

ロシア政府はこれまで、緊急事態用の財源が尽きた場合、福祉基金の活用に頼る可能性に言及している。ロシア大統領府によると、福祉基金の規模は700億ドルを超えている。ただ、同基金の本来の目的は予算の赤字を埋めるものでなく、将来の年金支払いや大規模事業の資金に充てられるものとなっている。

この中でロシア中央銀行は16日、景気回復を狙って主要政策金利を10.50%から10%に新たに引き下げると発表した。中銀の外貨準備高は現在、3950億ドル相当で2013年10月の5240億ドルからは相当減少している。14~15年に自国通貨ルーブルの安値を防ぐため1400億ドルを融通したことが響いているとみられる。

ただ、この為替市場への介入は奏功せず、今年1月には対米ドルで過去最低の安値を記録。その後はいくぶん持ち直したものの、ルーブル安の基調に変化はない。

欧米による対ロシア経済制裁では、同国の主要企業に対する欧州からの投資ルート遮断、特定の産品輸入禁止や政府幹部の資産凍結などの措置が打ち出された。ロシアは欧州産の一部食料品の輸入禁止などの対抗策で応じたが、欧州諸国の農業に混乱を生じさせたものの国内ではインフレ率が2桁台に上昇する副作用を被ることともなった。

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