ニューデリー(CNNMoney) インド一の資産家ムケシュ・アンバニ氏が200億ドル(約2兆円)を投じ、10億人が無料で使える第4世代(4G)通信サービスの提供を開始した。低価格の高速インターネット接続サービスを国民に普及させることを目指す。
新しい4Gサービス「リライアンス・ジオ」は5日から正式提供を開始した。インド国内の80%強を網羅し、年内は無料で利用できる。来年以降もデータ通信料は月額149ルピー(約230円)に抑える。
アンバニ氏は自身が経営するリライアンス・インダストリーズの先月の年次総会で、「デジタル化できるものは全てが目を見張るようなペースでデジタル化されるだろう」と展望を語っていた。
インドでインターネットを利用できるのは成人の5人中1人にとどまっていた。公衆無線LANはほとんど存在しない。高速ブロードバンド接続に必要な設備は都市部でも貧困地域には普及せず、地方ではさらに少ない。
しかしジオのサービスが成功すれば、スマートフォンなどからインターネットを利用する人が激増し、状況は一変する見通しだ。
インド市場には米ハイテク大手も狙いを定め、グーグルは全土で鉄道の駅に無料の無線LANを導入。フェイスブックも無料サービスの提供を試みていた。
アンバニ氏はインド全土に約10万の基地局を建設し、ジオのサービスは既に推定1万8000の市と20万の村落を網羅。2017年3月までに人口の90%に到達することを目指す。
アンバニ氏は15年前、リライアンス・コミュニケーションズを経営する弟のアニル・アンバニ氏と仲互いして通信事業から撤退したが、ここ数年は和解していた。ジオはリライアンス・コミュニケーションズが保有する無線周波数帯を利用する。アンバニ兄弟の資産総額は合せて260億ドル(約2兆6000億円)と推定される。
競合各社もジオに対抗して値下げに踏み切っている。エアテルは3Gと4Gサービスの料金を80%引き下げ、ボーダフォンはデータ通信の容量を約70%引き上げた。
6日にニューデリーで使ったリライアンスのサービスのダウンロード速度は毎秒21メガビット(Mbps)だった。