オバマ氏、G20で各国首脳と会談 シリア情勢など焦点

G20出席のため訪問中の中国・杭州で会見するオバマ米大統領

2016.09.05 Mon posted at 14:56 JST

中国・杭州(CNN) 主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため、中国・杭州を訪れているオバマ米大統領は4日、トルコや英国の首脳と相次いで会談した。米大統領選を11月に控え、任期中にシリア情勢や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐってどのような外交成果を残せるかが焦点となっている。

オバマ氏は3日に大統領専用機で杭州入りしたが、この時に他国の首脳と比べて冷遇されたとの指摘があった。まず専用機の到着時に、歓迎用の赤いじゅうたんが用意されていなかった。また慣例に従って専用機に近付こうとした米国人記者団が制止され、米中両国の当局者が激しく言い争う場面もあった。

オバマ氏は4日、記者団が取材しようとした行動について米国として謝罪はしないと述べる一方、こうした摩擦が起き得ることも理解できると言明。中国が開催国として強いられる負担に配慮を示し、「大げさに騒ぎ立てるつもりはない」と語った。

オバマ氏は同日、トルコのエルドアン大統領との会談に臨み、7月に同国で起きたクーデター未遂について、首謀者を裁きにかけるために引き続き協力すると表明した。

トルコは首謀者として米国在住のイスラム指導者ギュレン師を名指しし、米国に同師の身柄引き渡しを要求している。しかし本人は関与を否定し、米国はトルコ側に関与を示す証拠の提出を求めてきた。

エルドアン氏は会談で、米国に追加の証拠を提出する準備を進めていると表明。米当局との協議のため、まもなく司法相と内相を派遣するとの方針も示した。

中国入りする首脳のうち、オバマ氏のタラップにはじゅうたんが用意されず

クーデター未遂後にトルコ政府が取ってきた強硬策は、人権団体などから批判を浴びている。しかしトルコは米国にとって、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の掃討作戦で共闘する重要なパートナーであり、協力を拒否すれば関係を損なう恐れがある。

一方でこの作戦をめぐっては、シリアのクルド人民兵を支援する米国と、敵視するトルコの間で意見が衝突し、両国の共闘関係に影を落としている。

シリア情勢関連では、アサド政権を支援するロシアとの対立も続く。オバマ氏とプーチン・ロシア大統領の正式な会談は予定されていないが、現地では米国のケリー国務長官とロシアのラブロフ外相がシリア停戦合意に向け、24時間態勢で協議を続けている。

米ロ関係はシリア政権をめぐる対立に加え、ロシアのウクライナ介入や米大統領選への干渉疑惑などもあって冷え込んでいる。両首脳がG20の場で顔を合わせる機会を通し、関係改善の糸口を見出せるかどうかが注目される。

オバマ氏は4日午前、EU離脱が決まった英国のメイ新首相とも会談した。オバマ氏は離脱に反対する立場を取っていたが、会談では米英間の「特別な関係」に言及。「米国にとって世界に英国ほど強固なパートナーはいない」と述べ、関係継続を図る意向を強調した。

メイ氏は会談後の共同会見で、EU離脱の手続きを粛々と進めていく姿勢を改めて示した。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。