マザー・テレサが聖人に 法王がバチカンで列聖式

マザー・テレサを聖人に認定する列聖式がバチカンで行われた

2016.09.05 Mon posted at 10:06 JST

バチカン(CNN) インドのカルカッタ(現コルカタ)で貧しい人たちを助ける活動に生涯をささげたカトリック修道女のマザー・テレサが4日、聖人の列に加えられた。

ローマ法王フランシスコはバチカン(ローマ法王庁)のサンピエトロ広場で聖人を認定する列聖式を行い、集まった大勢の信者を前に、「カルカッタのテレサを聖人に」と宣言した。

マザー・テレサは生前に2人の病気を癒やす奇跡を起こしたと認定された。サンピエトロ広場の大聖堂には巨大な肖像画が掲げられ、式典にはその遺志を継いで今も奉仕活動を続ける修道女たちも列席した。

説教の中でフランシスコ法王はマザー・テレサの功績をたたえ、「慈しみの心は彼女の仕事に味を与える塩であり、貧困と苦しみのために流す涙もなくなった大勢の人たちの闇を照らす光だった」と語った。

さらに、用意された原稿から離れて、マザー・テレサを「聖人テレサ」と呼ぶことに違和感を感じる人もいるかもしれないと指摘、「私たちはこれからもマザー・テレサと呼び続けるだろう」と言い添えた。

集まった信者たちはマザー・テレサの母国語のアルバニア語やコルカタで使われているベンガル語などさまざまな言葉で祈りをささげ、世界各地で迫害されているキリスト教徒のために中国語でも祈りがささげられた。

イタリア全土でホームレスとして暮らす約1500人も参列し、昼食には修道女たちがピザを配った。

ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(中央)

カトリック教会の聖人や福者はほとんどが、死後何十年もたった後に列せられている。しかしマザー・テレサの場合、19年前に死去した直後から、聖人に列するための手続きを早めるよう求める声が強まった。

こうした声を受けて2002年10月、当時のローマ法王ヨハネパウロ2世が1つ目の奇跡を認定して「福者」に列した。今年3月にはフランシスコ法王が2つ目の奇跡を認定、マザー・テレサを聖人に列すると発表していた。

マザー・テレサは1910年にアルバニアで生まれ、50年にコルカタのスラム街で貧しい人たちの救済活動を始めた。白と青のサリーに身を包んで献身的に奉仕する姿は世界的に有名になり、79年にはノーベル平和賞を受賞。97年にコルカタで死去した。87歳だった。

その奉仕活動を巡っては、活動団体の会計処理や、奇跡とされた病人の治癒に関して疑問を投げ掛ける声も一部にはある。しかしマザー・テレサが創設した活動は世界中に広がり、欧州やアフリカ、北米、南米、オーストラリア、香港、ロシアにも支部が置かれている。

マザー・テレサの列聖式をみる

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