デング熱予防ワクチン、重症患者の増加招く恐れも 英研究

フィリピンの首都マニラの病院でデング熱患者を治療する看護師

2016.09.02 Fri posted at 12:57 JST

(CNN) デング熱の新しい予防ワクチンとして各国で認可されている「デングワクシア」は、使い方を誤れば重症患者の増加につながりかねないという研究結果を、英国の研究チームが1日に発表した。

デング熱の感染者はこの数年で増加傾向にあり、年間の感染者は世界で推定3億9000万人、100カ国以上で症例が報告されている。

予防ワクチンのデングワクシアは、フランスの製薬会社サノフィパスツールが開発し、2015年に有望な効果が確認されたと発表。臨床試験では59.2%の割合でデング熱に対して効果が表れたとしていた。

これまでに6カ国で承認され、4月にフィリピンが初めて使用を開始。ブラジルも実用化の計画を発表したほか、感染者数が多いパラグアイなどでも実用化を予定している。

デング熱を媒介する蚊の駆除のため、殺虫剤を散布する作業員

英インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン氏の研究チームは、臨床試験のデータを調べ、さまざまな状況で使用した場合の効果を検証。その結果、過去にデング熱の流行が起きた可能性の低い地域で同ワクチンを使用した場合、重症患者の増加につながりかねないことが分かった。

ファーガソン氏によれば、デング熱は初めて感染した時よりも、2度目の感染の方が重症化しやすい。このため感染したことのない人がワクチンを接種されると、実際にウイルスに感染した時に重症化する可能性があるという。

同ワクチンの長期的影響についての予測では、過去に流行した可能性が高い地域で使ったとしても、感染者を減らす効果が増やす効果に相殺されて、患者数の減少は10~30%にとどまる見通しだとした。

ワクチン接種前の血清検査を開発すれば、重症化する危険性は排除される可能性があるといい、研究チームは「過去にデング熱に感染したことのある人にとっては、このワクチンは素晴らしい効果がある」と指摘している。

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