シー・シェパードが高速船投入、日本の捕鯨船上回ると主張

シーシェパードが「クジラ保護運動」に使用する高速船「オーシャン・ウォリアー」

2016.08.31 Wed posted at 16:03 JST

(CNN) 反捕鯨団体のシー・シェパードは30日、日本の捕鯨船の速度を上回る専用艇を投入し、11回目の「クジラ保護運動」を展開すると発表した。

シー・シェパードは声明で、「我々は初めて、日本の銛打ち込み船に追いつき、追い越せるスピードを手にする。南極海のクジラの命を救うためにはスピードが物を言う」と強調した。

高速船の「オーシャン・ウォリアー」は全長54メートル、排水量439トン、速度は25ノット(時速約46キロ)以上。甲板からは小型船舶を発進させ、ヘリコプターを運用することもできる。日本の捕鯨船は最高速度22ノットと推定され、シー・シェパードがこれまで使っていた船は15ノットだった。

同船はオランダの造船会社ダーメンがトルコで建造。830万ユーロ(約9億5000万円)の資金はオランダ、英国、スウェーデンの宝くじ収益金からシー・シェパードに拠出された。年内にオーストラリアに到着する見通しで、南極海での活動に備える。

これに先立つ23日、シー・シェパードの米国支部と日本鯨類研究所の間では、米国の裁判所の仲介で和解が成立。米国支部に対して南極海での日本の捕鯨活動妨害を禁じた命令が恒久的なものとなり、2011年から続いていた裁判は決着した。

しかしシー・シェパードの米国支部がこの命令に従うと表明する一方で、オーストラリア支部は、米国支部に対する命令によって活動に支障が出ることはないと強調。「米裁判所での和解の効力はオーストラリアの法律には及ばない」と主張している。

日本の捕鯨船に体当たりするシーシェパードの抗議船「ボブ・バーカー」(手前)

捕鯨を巡っては国際捕鯨委員会が1982年に商業捕鯨のモラトリアムを提案し、86年から発効した。しかし日本は調査目的とする捕鯨を続行し、2016年にはミンククジラ333頭を捕獲した。

2014年には国連の国際司法裁判所(ICJ)が日本に対して捕鯨の中止を命じている。

モラトリアム後も捕鯨を続ける国は日本だけにとどまらず、アイスランドとノルウェーも商業捕鯨を行っている。2014年はノルウェーがミンククジラ746頭、アイスランドがナガスクジラ137頭とミンククジラ24頭を捕獲した。

動物保護団体が2015年に発表した報告書によれば、ノルウェーが1年間に捕獲するクジラの数は、主要捕鯨国を合わせた捕獲数を上回る。

それでも日本の捕鯨に非難が集中する理由について、環境保護団体EIAのクレア・ペリー氏は「アイスランドとノルウェーは欧州北部の海域で捕鯨を行っているので、欧州の問題とみなされている」と解説する。

これに対して日本は唯一、1994年にクジラ保護区に指定された南極海の公海で捕鯨を行っているため、反捕鯨団体の標的にされやすいという。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。