(CNN) 国際医療支援団体の国境なき医師団(MSF)などがこのほど、地中海を漂流する難民や移民の救助作戦を展開し、30時間で6500人を救助した。中には生後5日の双子の男の子も含まれていた。
国境なき医師団(MSF)とスペインの人道支援団体「プロアクティバ・オープン・アームズ(POA)は29日に実施した作戦で、ゴムボート15隻と木造船1隻を発見して乗船者を救助した。双子の新生児は母親と一緒に、ヘリコプターでイタリアに搬送された。
今回救助された人のうち約3000人はMSFやPOAがリビア沖で発見、救助した。マルタの領海でも救助活動が行われた。ほかにも欧州連合(EU)の密航取締部隊や国境警備隊が加わって、計40カ所で救助活動を展開した。
イタリア沿岸警備隊によると、救助された人たちはイタリア南部のカラブリア州とシチリア島に到着する。
ほとんどはアフリカのナイジェリア、エリトリア、ガンビアなどサハラ砂漠以南の国の出身で、北部のリビアなどを経由して地中海を渡り、欧州を目指していた。
国際移住機関(IOM)によると、このルートを8月14日の週に使っていた難民や移民は2197人だったが、29日に救助された人数はほぼ3倍に増えている。
IOMの8月中旬の推計では、海を渡って欧州にたどり着いた人は今年に入って26万4513人。航海の途中で死亡した人は3165人に上る。今年の死者は、昨年1年間の合計の3771人を上回る見通しだという。
リビア経由でイタリアを目指すルートは危険性が高まっている上に、航海には地中海横断には耐えられないような粗末な船が使われ、定員を大幅に上回る人数が乗船。中には600人以上を乗せた船も見つかった。