アップルに1.4兆円の追徴課税、EUがアイルランドに指示

2016.08.31 Wed posted at 11:38 JST

ロンドン(CNNMoney) 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は30日、米アップルがアイルランドで受けてきた法人税の優遇措置は違法との判断を下し、アップルに最大130億ユーロ(約1兆4800億円)の追徴税を課すよう同国に指示した。

ひとつの企業に対するEUの追徴課税としては過去最高額となる。これを受けてアップルの株価は一時3%近く下落したが、その後回復した。同社は異議を申し立てる構えだ。

欧州委員会は、アイルランド政府が過去20年以上にわたり、アップルの税額を不当に低く抑える操作に加担してきたと判断。EU加盟国が特定の企業にだけ税の優遇措置を取ることは、違法な補助にあたると指摘した。

これに対して米国はただちに、追徴課税は不当だと反論した。米財務省の報道官は「欧州内で外国からの投資やビジネス環境を損ない、米欧間の経済協力の精神にも悪影響を及ぼす恐れがある」と警告した。

米ホワイトハウスのアーネスト報道官も「米国の納税者からの税収をEUへ移転させることになる」と述べ、米国民や米国企業が海外で不当な扱いを受けた場合は政府として戦うとの姿勢を強調した。

法人税の税率は米国で最大35%、アイルランドでも12.5%となっているが、アイルランドのアップル子会社に課せられていたのは1%未満。かねてから米欧双方の議会で、同社はアイルランドでの雇用創出と引き換えに不当な優遇措置を受けていると指摘する声があがっていた。

2013年には同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)がアイルランドでの課税状況をめぐり、米上院の委員会に呼ばれて証言していた。

欧州委員会はアイルランドに対し、アップルから03~14年の差額分を追徴するよう指示している。

クック氏は30日、EUの判断には「事実の上でも法の上でも根拠がない」との見方を示し、アップルへの明らかな狙い撃ちだと主張した。

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