ニューデリー(CNNMoney) インド国防省は27日までに、同国海軍が次期主力潜水艦として採用したフランス軍需企業DCNSが製造する最新型潜水艦の機密データの漏出が判明し、調査していることを明らかにした。
流出したのは活動の隠密性などに優れているとされるスコルペヌ級潜水艦の性能に関する2万2000ページ以上の大量データ。センサー技術、魚雷発射システム、通信や航行関連能力などに関する機密情報が含まれているという。
この漏洩(ろうえい)はオーストラリア紙オーストラリアンが最初に報じた。インドのマノハル・パリカル国防相は24日、「いま思い付くのはハッキングの被害」と記者団に表明。国防省は声明で、漏出は国内ではなく海外で発生した兆候があると述べた。
DCNSは情報流出や発生した時期についてのコメントを拒否。同社の報道担当者は「今回の深刻な事例は国防治安任務に当たる適切な仏国家当局によって徹底的に調べられる」と述べた。同社の顧客が被る潜在的な損害や漏出の責任問題などは調査結果に左右されるとも語った。
インド海軍は同級潜水艦を計6隻発注。「カルバリ」と命名された最初の1隻はインド・ムンバイの造船所で建造され、今年中に就役する予定となっている。ただ、スコルペヌ級潜水艦の調達計画は数年にわたって遅滞していた。残る5隻の引き渡しは2020年までに予想されている。
オーストラリアン紙の電子版は漏出したデータを編集加工した内容を報道。この中には技術的な設計図や船体操作のマニュアルの他、スコルペヌ級潜水艦の騒音レベルに関する極めて慎重な扱いを要する情報も含まれていた。
スコルペヌ級潜水艦についてはインドだけでなく、チリ、マレーシアやブラジルもそれぞれの仕様の型式を発注済みとなっている。豪州も計12隻の建造契約を結んだ。総額は390億米ドルとなっている。
軍事情報会社IHSジェーンズ(IHS)によると、アジア諸国では潜水艦保有をめぐる軍拡レースが続いており、既に12カ国が実戦配備している。少なくとも8カ国が新型潜水艦の調達もしくは更新計画を進めているという。
世界各国の国防費支出の趨勢(すうせい)を見た場合、欧州諸国では横ばい状態が続いているが、アジア諸国では毎年5%の伸び率を示している。