英国留学、9年ぶりの低水準に 移民への規制強化響く

英ケンブリッジ大学のセント・ジョンズ・カレッジ

2016.08.26 Fri posted at 11:05 JST

ロンドン(CNNMoney) 英国家統計局によれば、今年6月までの1年間に英国に留学した外国人の数は前年比15%減少し、2007年以降では最低の16万4000人となった。

シンクタンク「公共政策研究所」のクリス・マレー研究員(移民問題)は「過去2年、政府は留学生に対する規制を大きく強化した。例えば留学生が学びながら、また卒業した後に就労することは以前より難しくなっている」と説明する。

以前なら、留学生は履修コースを修了した後、最大で2年間は英国に残って就労することができた。だがメイ首相が内務相を務めていた12年、移民抑制政策の一環としてこの権利は奪われた。

「これが留学先としての英国の評価を変えた」とマレー氏は言う。

また英政府は、就労目的にもかかわらず学生ビザで入国する外国人への締め付けも強化。虚偽の入学許可を出していたとされる学校を含む800校を超える教育機関に対し、留学生の受け入れを認めない措置をとった。

移民を抑制する政策に伴い、留学生の受け入れも減少傾向に

とはいえ各国からの留学生は英国の大学にとって重要な収入源だ。こうした学生は英国や欧州連合(EU)域内出身の学生よりも高い授業料を払っている。12年の政府統計によれば、留学生は英経済に180億ポンド(現在のレートで約2兆3900億円)相当の貢献をしたという。

前出のマレー氏は「留学生は(大学の)地元にも金を落としている。(学生ビザを取るには)銀行口座に就学費用をまかなえるだけの金が入っていることを証明しなければならない。つまり(留学生受け入れに)英国の財政負担はまったくない」と述べた。

留学生はまた、全大学院生の40%以上を占めており、英国の研究機関が高水準を維持するのに欠かせない存在だ。

留学生の半分以上はEU域外の出身者だ。最も多いのは中国出身者で、次いで米国からの学生となっている。

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