イスタンブール(CNN) トルコ軍は24日、過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦うシリア反体制派「自由シリア軍」を支援するためトルコ国境沿いに位置するシリア北部のジャラーブルス町に戦車などによる越境侵攻に同日踏み切ったことを明らかにした。トルコの地元メディアが報じた。
24日夕までには自由シリア軍が同町を掌握したという。トルコの半国営アナトリア通信によると、ジャラーブルス町はトルコ国境と1キロ以下しか離れておらず、ISISがトルコ国境沿いで制圧していた最後の主要拠点だった。
米国防総省当局者などは、同町は欧州などの地域からISISに合流する外国人戦闘員の経路となっており、奪還の意義は大きいと指摘。シリアやイラクから離れる戦闘員の封じ込めを図る上でも意味があると述べた。
トルコのエルドアン大統領は、同国軍の今回の越境侵攻はISIS掃討だけでなく、シリア北部に拠点を構えトルコが敵対する少数民族クルド人の武装勢力を封じ込める大規模作戦の一環との認識を示した。同大統領はクルド人の組織「民主統一党(PYD)」の名前にも言及した。トルコは国内でクルド人非合法組織と衝突を繰り返している。
フランスのAFP通信はジャラーブルス町西方の地点で国境線に向かって進むトルコ軍戦車の写真を伝えた。テレビ局CNNトルコは、トルコ軍の特殊部隊も国境線で作戦遂行中と伝えた。
米軍主導の有志連合に属するトルコ軍の砲兵部隊と戦闘機もジャラーブルス町奪還作戦に伴って同町に砲撃や空爆を行った。米国防総省当局者などによると、同町で抵抗していたISIS戦闘員は数百人規模だった。
シリアとの国境線をはさむトルコ南部では最近、シリア内からの迫撃砲攻撃などが多発していた。国境線に近いトルコのガジアンテップでは今月20日、大規模な爆弾テロが起き、多数が死亡。トルコのチャブシュオール外相は事件後、トルコの国境線でISISを完全に一掃すると宣言していた。
CNNの取材に応じた米国防総省高官は、トルコ軍の今回の越境侵攻はシリア北部でのクルド人勢力を押さえるのが大きな動機と説明。トルコは、クルド人勢力がジャラーブルス町奪取の意図を見せるまで、同町の状況には関心を示してこなかったとも述べた。
トルコ軍戦車、シリアに越境侵攻 ISIS掃討で