空爆で負傷した少年の映像公開、「これがシリアの日常」

空爆を受けたアレッポで、がれきの中から救出されたオムラン・ダクニシュ君

2016.08.19 Fri posted at 12:00 JST

(CNN) 内戦が続くシリア北部のアレッポでがれきの中から救出され、血と埃にまみれた姿で救急車の椅子にじっと座って手当てを待つ幼い少年の映像が公開され、シリアの惨状を物語る象徴的存在として、ソーシャルメディアを通じて広まっている。

少年は5歳のオムラン・ダクニシュ君。支援団体のアレッポ医療センターがインターネットにビデオを投稿した。作業員に抱きかかえられて救急車に乗せられた少年は全身埃にまみれ、顔の左半分は血にまみれていた。

しかしそんな惨状の中でも椅子に座ったままじっと黙って動かず、がれきから救出される間も泣き声を上げなかったという。「極度のショック状態にある」と関係者は指摘する。

オムラン君はアレッポの自宅で両親や兄弟らと暮らしていたが、自宅が17日の空爆で破壊され、オムラン君も家族も負傷した。それでも幸いなことに、一家全員が命を取り留めたという。空爆したのはシリア政府とロシアだったと活動家は話している。

「極度のショック状態」にあるため、救出中も泣き声を上げることはなかったという

アレッポは何年にもわたって包囲され、子ども4500人を含む数千人が死亡、市民生活は壊滅状態となった。

映像を撮影したカメラマンは、「今あなたが目にしているのは、アレッポで毎日繰り返されている光景だ」と訴える。「アレッポでは毎日、こうした大量殺人と戦争犯罪を取材している。爆撃された現場へ行くと、政府軍機が旋回して再び空爆し、市民を助けようとしている救急隊員を殺害する」

がれきを掘り起こしてオムラン君を助け出すまでには1時間近くかかったという。現場からはオムラン君よりさらに幼い少年も救出され、救急車に乗せられている。

オムラン君は比較的軽傷で済んだが、母親や兄弟は重傷を負ってアレッポから密かに脱出した。一家は今、親類の元に身を寄せているという。

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