香港(CNNMoney) 中国人旅行者の間で近年、大型客船に乗って各地を周遊するクルーズの旅が人気を呼んでいる。
中国からの観光客が昨年1年間に外国で費やした金額は世界でも断然トップの約22兆円。この数字は今後さらに増える見通しだ。
香港の証券会社CLSAによると、中でもクルーズ船の乗客数は2014年までの2年間に3倍を超えるペースで膨れ上がり、69万7000人に達した。クルーズの市場としては現在世界7位だが、CLSAによれば将来トップに立つ可能性もある。
クルーズ業界大手、米ロイヤル・カリビアン・クルーズのマイケル・ベイリー最高経営責任者(CEO)は「消費者の構成が大きく変化し、アジア太平洋地域発の旅行者が劇的に増えている」と指摘する。
同社は今年、最新鋭のクルーズ船「オベーション・オブ・ザ・シーズ」を中国市場に投入。これにより、中国での旅客輸送能力は4割以上増加した。
業界最大手の米カーニバルは現在、中国に客船6隻を配置している。来年には3隻、20年までにさらに2隻が新たに加わる予定だ。
3番手の米ノルウェージャン・クルーズ・ラインも来年半ばには中国市場に参入する予定で準備を進めている。
ロイヤル・カリビアンの船は買い物やカジノの施設を増やすなど、中国人客の好みに合わせて工夫されている。米国発のハンバーガー・ショップに代わって人気映画「カンフー・パンダ」をテーマにしたヌードル・バーも登場した。
オベーション・オブ・ザ・シーズの船上では、甲板にそびえる高さ約10メートルのパンダ像など、総額約4億5000万円の美術品コレクションも楽しむことができる。
中国最大のオンライン旅行代理店、Cトリップの幹部は「中国人観光客には国際的な雰囲気と同時に中国的な要素も喜ばれる」と話す。クルーズ人気の要因としては、親族の集まりなど大勢での旅に適していることが挙げられるという。
CLSAによると、中国の旅行者でクルーズの経験があるのはわずか15%。市場開拓の余地は大きいと考えられる。