これぞ究極の食べ放題イベント? 岩手名物わんこそばに挑戦

岩手県名物わんこそば。給仕の女性が一口分のそばを次から次へと椀へ入れてくる

2016.10.15 Sat posted at 21:00 JST

盛岡(CNN) 「はい、じゃんじゃん」

わんこそば屋の給仕の発する言葉は、甘くそれでいてしっかりとした声とは裏腹に、やや単調で退屈だ。しかし、客への容赦は一切ない。小さな椀(わん)の中のそばを食べきると、給仕は「はい、どんどん」という掛け声とともに一口分のそばを椀に入れる。

このやり取りが33回繰り返され、筆者の脇には空の椀が高く積み上げられた。

給仕に「もう止めて」と言っても無駄で、わんこにふたをするまでそばの提供は続く。わんことは地元の方言で「椀」を意味する。

これが、岩手県名物わんこそばの全容だ。

最高記録は345杯

筆者は、岩手県盛岡市にある東家(あずまや)でわんこそばに挑戦することにした。この店には外国人向けに英語のメニューも用意されている。

無論、必ずしもわんこそばに挑戦する必要はなく、懐石ランチなどのセットメニューもあるが、ここまで来て挑戦しない手はないだろう。

記者の後ろの席には111杯を平らげたつわものが

わんこそばの料金は3240円で、まぐろの刺身やなめこおろしなど、9種の付け合わせ料理が付く。

食事が終わると、お土産として食べた椀の数が記載された証明書と札がもらえる。

わんこそば15杯が通常のそば1杯分と言われており、33杯は見事な記録と思っていたが、筆者の後ろの席の男性客の横に積み上げられた椀の山を見てその思いは吹き飛んだ。その客はなんと111杯も食べたという。証明書もあるので間違いない。

しかし上には上がいる。東家の店員によると、以前1回の食事で345杯を平らげた客がいたという。

わんこそばのルールとコツ

わんこそばにはいくつかルールがある。

まず、客はそばを食べ続けなくてはならない。休憩を挟んで、胃の中のそばを消化してから再び食べ始めることは許されない。

付け合わせ料理は途中で食べることもできるが、そばを食べ終わるまで待った方がいい。付け合わせ料理はどれもおいしいので、ぜひとも食べるべきだ。

チャレンジが終わると、食べた椀の数を記した証明書と札がお土産にもらえる

もう1つの注意点は、めんつゆを飲み過ぎないこと。目の前に別の椀が置いてあり、そばをすすった後つゆをその中に捨てる。

そばをしっかりかんで食べるかどうかはその人次第だが、この店では少量のそばをかまずに飲み込むことを推奨している。

そしてもう食べられなくなったら、すでに述べた通り、単に満腹と言うだけではだめ。自分の椀にふたをしないと、給仕に素早く次のそばを入れられてしまう。

わんこそばの起源

わんこそばの起源についてはいくつか説があるが、東家の創業者によると、わんこそばは1600年代初頭に作物が育ちにくい岩手県の地域性が原因で生まれたという。

南部地方は高い山が多く、気温も低いため、農家の人々は栽培が容易なそばを常食していた。しかし、当時そばは「田舎の料理」とみられており、農家では身分の高い人々にそばを出すのは恥ずかしいことと考えていた。

岩手県観光協会によると、昔、殿様が花巻を訪れた際、地元の人々は豪華な料理とともにほんの一口分のそばを恐る恐るだしたところ、殿様はそばを非常に気に入り、何度もお代わりしたという。

この出来事をきっかけに、そばを小さな椀で出し、客が満腹になるまでそばを提供し続ける伝統が生まれた。それから400年が過ぎ、現在、岩手県で食べられているわんこそばのスタイルとなった。

わんこそばの起源は今から400年前にさかのぼる

岩手県では年に2度、わんこそばの大会が開催されている。同県観光協会によると、この大会で連覇を達成した女性は、わずか10分間に383杯を平らげたという。

盛岡へのアクセス

東家は盛岡市に4店舗あり、駅前店は盛岡駅から徒歩2分の距離にある。

盛岡駅は東京駅から新幹線で約3時間、仙台からは電車で40分だ。

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