東京(CNN) 日本でこの夏、大規模なアート展「DMM.プラネッツArt」が開かれている。テクノロジーとアートが衝突する内容だ。
この展示会を仕手掛けたのは、「ウルトラテクノロジスト」を自称し東京を拠点に活動するアート集団「チームラボ」。
展示は「Crystal Universe」など4つのインスタレーションを中心に構成されている。モバイル機器やセンサー、コンピューター描画を組み合わせることで、観客はそれぞれの世界の一部になれる。例えば、池を描いた部屋で歩を進めると、コンピューター投影されたコイがその動きを探知して逃げていくといった趣向だ。
以下では、チームラボの一員である工藤岳氏に話を聞いた。同氏はそれぞれの展示室を異なる惑星と表現し、その体験を宇宙空間を移動する感覚になぞらえている。
展示会全体のコンセプトは?
コンセプト面では、他人と一緒に五感を使うときに身体に生まれる感覚、物理的な感触を重視した。このような完全没入型の巨大インスタレーションを実現したかった。展示面積は3000平方メートルを超えている。作品全体を見るて回る正しい順番はない。好きなように惑星から惑星に移動してほしい。
美術館で絵画を鑑賞する場合と今回のような体感する芸術の違いは?
最大の違いは観客が芸術作品に参加し、その一部になれるようにしたこと。この点は非常に重要だ。「モナリザ」に反対するわけではないが、仏ルーブル美術館でモナリザの絵を見る場合、自分と作品は1対1の関係になる。
自分1人で作品を見たいという気持ちから、他者の存在に対しては若干ネガティブな姿勢になる。
一方、今回の作品は1人で見ても多くのことは起きないが、他の人と一緒に見るとエフェクトが増える。鑑賞体験の美しさが増すため、他者に対して少しだけポジティブな気持ちになれる。
現在のアートとテクノロジーの関係をどのように捉えているか?
我々にとってテクノロジーは道具や素材でしかない。まず始めにコンセプトや実現したいことを持つのが重要で、テクノロジーという道具を使うのはその後だ。
過去の芸術作品との比較で言えば、我々の作品は光で、あらゆるものが我々のキャンバスとなっている。物理的な作品を超えて拡張したいと思っていて、そうした空間を作ろうとすると新しいテクノロジーが必要になる。これは1人では実現できず、チームが必要だ。そのため我々のオフィスには400人を擁している。
作品体験の没入度を高めるため、それぞれの部屋ごとに独自の匂いまで作り出した
例えば「Wander Through the Crystal Universe」という作品では、宇宙飛行士と協力して実際に特殊な匂いを作った。飛行士に頼んで宇宙の匂いを思い出してもらい、その匂いや感覚を作り出して作品の中に込めようとした。
観客はこの匂いからも宇宙を感じることができるのではないか。こうした特別なインスタレーションは制作予算が膨大だが、惑星間ロケットを作るのに比べればずっと安い。
DMM.プラネッツ Artの展示期間は8月31日まで。
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