イスラム教徒の女性水着を禁止、テロ対策で 南仏カンヌ

多くの人でにぎわうカンヌの海岸=2012年夏

2016.08.13 Sat posted at 18:13 JST

(CNN) フランス南部の地中海沿岸にあるカンヌ市当局は13日までに、市内の海岸でイスラム教徒の女性用の水着「ブルキニ」の着用を禁止すると発表した。フランスや他の欧州諸国で多発したテロへの対抗措置としている。

同市長府によると、禁止の対象期間は7月28日~8月31日で、違反者には罰金38ユーロ(約4294円)を科す。違反者はこれまで報告されていない。ブルキニは、顔と手足の先以外の全てが隠されるデザインとなっている。

毎年の国際映画祭で有名なカンヌ市に近い仏ニース市の遊歩道などでは先月、暴走トラックが花火見物客らに突っ込むテロ事件が発生、84人の犠牲者を出していた。また、同月下旬には仏北部で教会が襲撃され、当時86歳の司祭が刺殺されるテロも起きていた。

南仏マルセイユ近くにある遊泳施設では最近、イスラム教徒の女性専用の「ブルキニ・デー」の設定が同市当局の介入により中止される一幕もあった。この行事の主催者側に脅迫文が届いたことが原因だった。

イスラム教徒の女性用の「ブルキニ」(左)は顔と手足の先以外の全てが隠されるデザイン

カンヌ市はブルキニ禁止の新条例の発表で、宗教への信仰をこれ見よがしな方法で明示する水着は公共秩序を乱しかねない可能性があるとの見解を発表。フランスと宗教関連の施設は現在、テロの標的になっているとの認識を示した。

これに対しカンヌ地域の人権擁護団体の幹部はブルキニ禁止の施策を批判し、逆に地域社会での緊張を高めると主張。また、仏南部のイスラム教団体組織の報道担当者は宗教色が色濃い水着の公然とした禁止はブルキニだけへの影響にとどまらないと指摘。ベールを被った女性やユダヤ教の民族衣装の1種であるキッパーの着用者らは海岸にいる権利を奪われたとも述べた。

フランスは2011年4月、イスラム教徒の女性の着衣「ブルカ」と「ニカブ」の公の場での着用を禁止する最初の欧州国家となっていた。ブルカは目の部分に網状の布をつけて全身を覆い隠す服装で、ニカブは目の周囲だけを外に出すベールとなっている。違反者には罰金150ユーロもしくは公共への奉仕活動の従事を命令していた。

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