バンコク(CNN) タイの選挙管理委員会は7日夕、同日実施された国民投票で新憲法案が承認されたと発表した。
開票率94%の時点で賛成票は61.4%、反対票は38.6%だった。新憲法案は軍に特別な権限を与える内容。タイは2014年のクーデターで軍が実権を握った。
この日の国民投票では、首相を選出する投票に下院だけでなく上院も参加させる案についての是非も問われた。選管によれば、同案には約58%が賛成、42%が反対した。
この日の投票には推定5000万人の有権者が票を投じた。正式結果は10日に発表される。
タイ軍の最高司令官だったプラユット首相は、新憲法で民政復帰への道筋を付けると強調する。だが有権者の間では、軍政を正当化する手段との見方も根強い。
投票を済ませた46歳の男性実業家はCNNの取材に対し、「軍が起草した憲法案は承認できない。軍の望みは実権を握り続けることにある」と語った。
40歳の会社員の女性も反対票を投じたといい、「この憲法は国民ではなく、軍が選んだ人たちが起草した。国のためだと言われても、ごく少数の人たちがなぜ国を代表できるのか」と疑問を投げかける。
一方、初めての投票に足を運んだ18歳の女子大学生は、憲法案のことはよく分からないものの、バンコクは軍が実権を握って以来、平穏を取り戻し、大学にも通いやすくなったと実感していることから賛成票を投じたと話している。