米、イランに4億ドル分の現金空輸 人質解放と同じ日

2016.08.06 Sat posted at 16:03 JST

ワシントン(CNN) 今年1月、イランの核開発を巡る合意が正式に履行され、イランに拘束されていた米国人4人が解放されたのと同じ日に、米政府がひそかに4億ドル(約400億円)分の現金をイランに空輸していたことが分かった。米当局者が6日までに明かした。

4億ドルの送金はオバマ大統領の承認を受けて実施されたもの。オバマ氏は1月にイラン核合意の一環としてこの措置を発表していたが、人質解放と同時だったことがわかると、共和党議員らから身代金の支払いに相当する行為だと非難の声が上がった。

現金はスイスフランやユーロなどの通貨を木製の荷運び台に積んで空輸された。米当局者によると、米国が科す制裁により対イランの取引で米ドルを使えないことに加え、当時の国際的な制裁でイランは世界の金融システムから締め出されていたため、現金で空輸される形になった。

米国とイランの間では、1979年のイラン革命以前の政権との間で結ばれた武器購入にからみイランが米国内で信託していた基金が、革命後に米国により凍結された。その後、その返還を求める争いが国際司法の場で続いていた。この基金4億ドルに利子13億ドルを加えた和解金17億ドルの最初の支払いとして、今回の空輸が実施されていた。

現金空輸の詳細が明るみに出たことを受け、共和党員からは改めてイランとの核合意を批判する声が上がった。批判者らはまた、今回の空輸は身代金の支払いにあたり、人質解放のために身代金を支払わないとする米国の長年の方針に反するとも主張。イラン国内に残る米国人の拘束を続け、解放のための要求金額をつり上げる動きにつながりかねないとしている。

共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏もこの問題に言及。遊説先のフロリダ州デイトナで3日、「イランは大きな危機にあった。経済制裁もあり滅びかかっていた。われわれが制裁を解除し、このひどい核合意を結んだことで、今のイランは強国になっている」と指摘した。そのうえで4億ドルの支払いについて、人質解放のために支払われたとし、「オバマ氏が非常に悪い先例を打ち立てた」と批判した。

一方、民主党の大統領候補であるヒラリー・クリントン前国務長官はコロラド州デンバーで、地元テレビ局に4億ドルの支払いについて聞かれ、7~8カ月前に報道された件であり「もう古い話だ」と述べた。そのうえで「私の知る限り、人質交換などとは無関係だ」とした。

オバマ大統領は4日、米国防総省で記者会見を開き、4億ドルの支払いがイランに拘束されていた米国人の解放のために支払われた身代金に相当するとの見方を否定。米国が身代金を支払うことはないとの方針を強調した。

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