山寺・立石寺 長い石段の先に待つ至極の眺望

石段を上った先の絶壁の縁に立つ開山堂と納経堂

2016.08.20 Sat posted at 20:00 JST

(CNN) 山寺・立石寺(りっしゃくじ)の頂上まで行くのに1015段の石段を昇らなくてはならないと聞き、思わず、我ながら情けない行動に出てしまった。寺の案内図でケーブルカー乗り場を探したのだ。

が、この寺にケーブルカーなどなく、無駄なあがきだった。

山形県の宝珠山にある山寺・立石寺の境内には近道や抜け道はない。しかし、そのおかげで今回の日本の旅の中で最も有意義な経験の1つを逃さずに済んだ。

立石寺は860年に創建された天台宗の寺院で、地元では「山寺」の通称で知られる。

境内には御堂や門や記念碑など、宗教的に重要な10以上の場所があり、その中の1つ、根本中堂には千年以上燃え続ける「不滅の法灯」がある。また1144年に建設された秘宝館には、貴重な仏具・仏像が保存されている。

石段を上り下りする参拝者の中には互いに声をかけ合う人も多く見られる

1015段の石段に悪戦苦闘

宝珠山をうねりながら上る1015段の石段は、大仏殿のある奥之院へと続く。この石段を1段ずつ上るたびに煩悩が1つずつ消えると言われる。

途中、中学生の一団に遭遇したが、どうやら彼らはその話を聞かされていなかったようだ。多くの生徒たちが、階段の手すりにつかまりながら、大げさな悲鳴を上げていたが、中には陸上選手のように一段抜かしで階段を駆け上がる生徒もいた。

しかし、これは頂上を目指す競争ではない。むしろ、参拝者たちの間には明らかな仲間意識が見られた。

頂上から下りてくる人たちは、上っているわれわれを励ますように会釈し、多くの人がすれ違う際に「こんにちは」と声をかけてくれた。

幸い、休憩の理由には事欠かない。

何千枚もの1円玉が埋め込まれた断崖の壁の前に立つ石像や、寺を彩る炎のように真っ赤な紅葉など、途中、立ち止まって一息つくのに最適な場所がたくさんある。

五大堂から見下ろす山形の田園風景

そして、ようやく頂上に到達すると、それまでの努力はすぐに報われる。

興味深いことに、この寺の最大の呼び物は大仏殿のある奥之院ではない。恐らく、山寺で最も多くの写真が撮られているのは、奥之院に達する前に通る開山堂と納経堂だろう。この2つの建物は、絶壁の縁にそびえるように立っている。

また近くの道を進んで行くと、木造の展望台のような五大堂があり、ここから山形の見事な田園風景が一望できる。

立石寺へのアクセス

最寄りの山寺駅は、東北最大の都市である宮城県仙台市から電車で約40分。

東京から行く場合は、東京駅から新幹線で山形駅まで2時間半強で、山寺駅はそこから電車で20分だ。山寺駅から寺の入口までは徒歩約10分で、途中、複数の案内標識が立っているので分かりやすい。

帰りに電車に乗る前に山寺の町を散策するのもいい。大通りには地元名物の「だしそば」の店や土産物屋が並んでいる。

芭蕉も訪れた山寺の境内をめぐる

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