バングラデシュ・ダッカ(CNN) バングラデシュの縫製工場で働いていた10歳の男の子が同僚に虐待されて死亡する事件があり、警察は25日、この工場の管理職の男を逮捕した。同国では児童労働者が虐殺される事件が相次ぎ、各地で抗議運動が起きている。
当局によると、男の子は首都ダッカ郊外にある縫製工場で、複数の同僚によってエアホースを直腸に挿入されてスイッチを入れられ、体内に圧縮空気を送り込まれた。男の子は24日、病院で死亡した。
25日に司法解剖を行った監察医によると、男の子は腹部が異常に膨張した状態で病院に運ばれ、圧縮空気による胃の損傷が致命傷となった。
地元警察によると、同僚らは男の子の父親に対する個人的な恨みから、子どもを狙った可能性があるという。
父親も同じ縫製工場に勤務していて、息子の死に関連して工場の関係者4人を警察に告発、ほかに6人が関与したと訴えている。
警察は同工場の管理職1人を逮捕して取り調べを行っているが、残る関係者は逃走中だという。工場を捜索して子ども27人を救出したことも明らかにした。
この事件を受けて近郊の町では工場労働者数百人が、男の子の殺害に関与した人物の厳罰を求めて抗議運動を展開。当局に対し、労働者の抑圧、特に子どもの抑圧を阻止する対策を講じるよう訴えた。
バングラデシュでは昨年8月にも、自動車工場で働く12歳の男の子が雇用主に虐待されて死亡する事件が起きた。雇用主は男の子が別の修理工場に転職を決めたことに対して腹を立て、殺害したとされる。
この事件では2人が殺人罪に問われて死刑が言い渡され、バングラデシュ全土に抗議デモが広がった。
さらに、昨年7月には北東部のシレット郊外で13歳の男の子が惨殺される映像がソーシャルメディアに投稿され、抗議運動が巻き起こった。
男の子は柱に縛り付けられて金属の棒で殴られていた。取り囲んだ男たちは笑いながら虐待を続け、男の子が助けを求めても、水が欲しいと訴えても無視した。この事件では男4人が殺人罪に問われ、死刑を言い渡されている。