ISIS、イラクやシリアでは「敗走状態」 米国務長官

CNNのインタビューに答えるケリー長官

2016.07.18 Mon posted at 15:36 JST

(CNN) 米国のケリー国務長官は17日、CNNのインタビュー番組に出演し、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は敗走態勢にあるとの見方を示した。一方で、米情報当局筋は、最近入手した情報などから、ケリー長官とは異なった見解を示している。

ケリー氏は番組で、ISISはシリアやイラクの本拠で力を強めているわけではなく、むしろ敗走中だと主張した。

番組の司会者は、世界各地でISISに感化されたとみられるテロが相次いでいることを挙げ、ISISが敗走中とは思えないと反論した。

これに対してケリー氏は、一連の攻撃はISISが「締め付けを感じて必死になっている」ことを示す動きだと述べ、「イラクとシリアを拠点とするISISが大きな圧力にさらされていることは事実だ」と語った。

さらに「1人の人物がある時思い立って殺人を犯すことが、イラクやシリアにおけるISISの侵攻を示す例だというなら、それは全くの間違いだ」と述べた。

ケリー氏はまた、米国はイラク、シリアでISISの掃討に力を尽くしていると強調。ISISはすでに支配地域の40~45%を失っていると指摘した。

ISISが異なる方向へと適応しているとの見方も

現地への米軍増派については、議会にその意向が全くみられなかったとする一方、世論に変化があれば政権としては耳を傾けると述べて、今後の可能性に含みを持たせた。

一方で米情報当局者らは、ケリー氏と異なる見解を示している。ある政府高官がCNNに語ったところによると、ISISの拠点で最近行った捜索などから、組織の構造やシリア、イラク以外の地域での攻撃計画について、より詳しいことが分かってきた。

ISISが世界各地の空港や商業地区など、市民が集まる「ソフトターゲット」を狙う計画を進めていることは以前から知られていた。ただ同高官によれば、最近の攻撃を未然に阻止できるような、はっきりとした情報はなかったという。

この高官は、ISISが今後もソフトターゲットを狙い続けるとの見通しを示したうえで、「これはISISが弱体化したり、苦し紛れの境地に陥ったりしていることを示す兆候ではない。今までとは異なる方向へ適応しているということだ」と述べた。

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