ニース事件、死者84人に フランス襲うテロの連鎖

2016.07.15 Fri posted at 19:34 JST

(CNN) フランス南部の観光地ニースで大型トラックが人混みに突っ込み84人の死者が出た14日の事件を受け、バルス首相は16日から18日の3日間を服喪の日とすることを発表した。仏当局は事件について、革命記念日の祝日に合わせて打ち上げられた花火を見ていた群衆を狙ったテロ攻撃の可能性を示唆している。

事件当時、現場の路上には数百人の人々が繰り出していた。人混みに突っ込んだトラックは歩道上を2キロにわたって暴走。地元メディアの報道によればこれまで確認された死者数は84人に上る。

フランスではこの1年半余りで、市民を標的にした襲撃事件が相次いでいる。昨年11月13日には首都パリのコンサート会場やサッカー・スタジアムなどで同時多発テロが発生。合わせて130人以上が死亡する大惨事となった。

また同年1月には風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の本社が襲撃されて12人が死亡。その後の2日間でさらに警察官1人、人質4人が殺害された。8月にはフランスの高速鉄道車内で銃を持った男が乗客に取り押さえられる事件も起きている。

ニースで起きた今回の事件に関して、現時点で犯行声明は出されていない

過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が犯行声明を出したパリ同時テロと異なり、今回のニースの事件では容疑者の素性は明らかとなっていない。しかし専門家は、これまでフランス国内で起きた襲撃事件について、北アフリカ諸国にルーツを持つテロリストの犯行だった点を指摘する。

元米中央情報局(CIA)捜査官のロバート・ベア氏は「北アフリカ系の人々はフランス国籍を有してはいても社会から疎外されているとの不満を抱いている。パリ同時テロ以降、北アフリカ系の人々に対する国内での風当たりは強くなり、アラブ系に見える人には通常行われない交通機関での身元確認が公然と行われているのが実情だ。当局によるこうした厳しい対応は、北アフリカ系の人々の過激化をむしろ加速させている」と分析する。

元米連邦捜査局(FBI)幹部のトム・フエンテス氏は、ホームグロウン(国内育ち)のテロの脅威が欧州における重大な懸念事項になっていると指摘。「現在モロッコ、アルジェリア、リビア、チュニジアといった国からの移民の第3世代が欧州で暮らしている。こうした人々はフランス生まれの子や孫の代になっても、自分たちをフランス人とはみなさない」と述べた。

AFP通信が警察の話として伝えたところでは、ニースで群衆に突っ込んだトラックの車内からは31歳のフランス系チュニジア人の身分証明書が見つかっている。

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