エジプト当局による「強制失踪」、数百人規模か 国際人権団体

2016.07.14 Thu posted at 12:00 JST

(CNN) 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは13日、エジプト当局が市民を拘束し、訴追もせずに監禁を続ける「強制失踪」の例が相次ぎ、その被害者は今年1~5月だけで630人を記録したとする報告書を発表した。

活動家らによると、拘束された人々は家族や弁護士との面会を認められず、正式な起訴や裁判もなしに外部との連絡を絶たれた状態だという。アムネスティの報告では、2015年には1日平均4~5人が消えたとされ、その半数は再び現れることがない恐れもある。

また報告書では当局による拷問も指摘した。被害者の証言では、電気ショックや目隠し、殴打、つるし上げのほか、強姦(ごうかん)を含む性的虐待もあったという。

CNNは強制失踪の被害者となった14歳のアセル・モハメドさんの姉に取材。姉によればアセルさんは逮捕状なしに拘束され、肉体と精神をひどく痛めつけられたという。

「ひどい電気ショックのひどい傷が唇や頭、腕、胸に残っていた」と姉は言う。「丸1日、腕が脱臼するまで手首からつり下げられたこともあった」

家族はアムネスティに対し、警察がアセルさんを数時間事情を聴くだけとして連行していったが、その後34日間連絡を取れず、居場所も不明だったと語った。

アセルさんは今月12日に裁判所に初出廷の予定だったが、不在のために審理は延期された。次回期日は来月の予定だが、当局が出廷を認めなければ再延期となる可能性もある。

人権団体「権利と自由のためのエジプト委員会(ECRF)」のモハメド・ロフティ氏は「エジプトにおいて強制失踪は新しい現象ではないが、(ここ2年ほど)劇的に増えている」と指摘する。

失踪されられた人々が起訴される場合にはテロ関連の罪名が適用されることが多い。だが取材した弁護士や家族たちはそうした容疑を否定する。「政府側につかない者はテロリスト」という論法だとロフティ氏は言う。

エジプトでは強制失踪は違法とされ、当局が市民を拘束した場合は24時間以内に公訴当局に報告することが求められている。

同国政府は全てのケースで訴追が行われていると主張。外務省報道官は、拷問も違法であり、その疑いのあるケースはすべて訴追の対象になっていると説明。強制失踪の主張について調査する委員会も立ち上げたと語った。

同報道官は「公訴当局は全ての申し立てを調査し、法執行と違反者の摘発を確保するために適切な法の手続きを踏んでいる」と語るが、人権団体は根拠がないと批判している。

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