(CNN) 子どもの頃に指をしゃぶったり、つめをかんだりする癖があると、アレルギー発症の確率が低くなるとの研究結果が発表された。ニュージーランドの研究者らが約1000人の子どもを対象に追跡調査を実施した。
この研究は、ニュージーランド・オタゴ大学のボブ・ハンコックス准教授らが11日、小児科専門誌「ピディアトリクス」で報告した。
米国などで近年、アレルギー疾患が増えている原因について、衛生状態が向上し、日常生活の中で病原体などに接触する機会が減ったためとする説がある。研究チームはこの説を検証するため、指しゃぶりなどの不衛生な習慣でアレルギーが減るかどうかを調べることにした。
対象はニュージーランドで1972~73年に生まれた子ども約1000人。5歳前後で調査を始め、32歳になるまで追跡した。
子どもたちが5、7、9、11歳の時に、指をしゃぶったりつめをかんだりする癖があるかどうかを両親に尋ねた。指しゃぶりなどをよくする子は全体の約31%を占めた。
13歳になった時にアレルギーの有無を調べるため、皮膚に原因物質を置いて針で微小な傷をつける「プリックテスト」を実施。32歳の時点でこれを繰り返した。
その結果、子どもの頃に指しゃぶりかつめかみ、あるいは両方の癖があったグループはそうでないグループに比べ、アレルギーの発症率が30~40%低いことが分かった。発症率の低さは成人時にも維持されていた。ただし、ぜんそくと花粉症については相関関係がみられなかったという。
ハンコックス氏によると、病原体にさらされることで体内の免疫機能にどんな変化が起きるのか、その正確な仕組みは分かっていない。アレルギーの発症よりむしろ感染症に対する抵抗力の方に影響を及ぼすようだと、同氏は指摘する。
米疾病対策センター(CDC)によると、97年から現在までの間に米国の子どもの食物アレルギー発症率は3.4%から5.4%、アレルギー性皮膚炎は7.4%から11.6%にそれぞれ上昇した。アレルギーの年間患者数は5000万人以上とされる。