ニューヨーク(CNNMoney) 米国による外国製弾薬の輸入量が今年5月までの1年間に前年同期比で48.9%増加したことが10日までにわかった。米国内で多発する銃暴力事件などを受け米国民の銃調達が激増していることを反映しているとみられる。
米国では銃乱射事件が起きるたびに、自衛意識の高まりやより厳格な銃規制を見越して銃販売が増加する傾向が顕著になっていた。
外国製弾薬の輸入実績は、船荷書類のデータ整理などで国際貿易の動向を追う市場調査企業Panjivaがまとめた。今回の統計には米国への陸路輸送分は含まれていない。
英国に拠点がある同社によると、米国向けの弾薬の輸出国は上位順にイタリア、ペルー、セルビア、韓国やスペインとなっている。
この中で輸出量が最多なのはイタリア・ミラン近くに本拠がある弾薬製造企業「フィオッキ・ムニチオーニ」。これに次ぐのはペルーの首都リマの「インドゥストリアイ・スルキーヨ」とセルビアの「プリビ・パルチザン」など。
「ベレッタ」社などを有するイタリアは銃器製造業が盛んで、米国向けに弾薬を輸出した上位10企業のうち6社を占めた。
全米射撃スポーツ協会の広報担当者によると、米国内の小火器販売は極めて堅調で、射撃施設企業もかつてないほどの盛況を報告している。それだけに弾薬類の需要も高まっている。
米国内での銃購入の増加はコロラド州オーロラの映画館やコネティカット州ニュータウンの小学校で2012年に相次いだ銃乱射事件から目立ち始めた。その後、銃販売に伴う米連邦捜査局(FBI)による身元調査は記録続きの件数となり、一部の州ではより厳しい銃規制関連法案が成立してもいた。
ニュータウンでの事件後には銃所持者や販売店が弾薬不足に数カ月直面する事態も生まれていた。特に突撃ライフル銃に使用される223口径や標的射撃に適する22口径の弾丸が品不足になったとされる。外国製弾薬の輸入がこの在庫不足を補ったともみられている。